内容説明
司馬史観徹底検証!国民的人気作家たちが紡ぐ虚構の近現代史を撃つ決定版!
目次
第1章 村上春樹と司馬史観
第2章 旅順攻防と乃木希典
第3章 司馬史観と東京裁判史観
第4章 ノモンハン事件の真実
第5章 司馬史観を受け継いだ半藤史観
第6章 作品でたどる司馬史観の萌芽と形成
第7章 『故郷忘じがたく候』の虚構
エピローグ 『永遠の0』で見えた日本の可能性
付録 特別対談―司馬史観に象徴される戦後精神史(×東谷暁)
著者等紹介
福井雄三[フクイユウゾウ]
東京国際大学教授。昭和28年7月鳥取県倉吉市生まれ。東京大学法学部卒。企業勤務ののち、大坂青山短期大学教授を経て、現職。専攻は国際政治学、日本近現代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
- 評価
日本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
inaryoXD11
9
なぜか「司馬史観」を論ずる本を読みたくなり、検索して読みました。思った通りの内容、司馬作品で繰り返される彼の主張。なぜそんな間違いが正しいと思いこむのか……、そしてそれを受け継ぐ人たち。気づいていないのか、わかっているが主張を変えないのか。ノモンハン事件について詳しく読むのは初めて。歴史的意義を正しく評価すべき。過去のすべてを肯定するわけではないが、事実を認識した上で、どうあるべきかを考えたい。そう思いました。2022/08/27
くすりん
8
いわゆる司馬史観が間違いである事を、坂の上の雲をメインに重箱の隅をつつく様に反論する本。 歴史小説の虚構性をどーのこーの言ってもなー。と思った。何れにせよ、司馬さんの本は面白いんだから。筆者も司馬さんの本の面白さには、感服してる様だが。2017/08/07
かっくん
7
坂の上の雲、大学時代に夢中になって読んだものである。まるでそこに書かれていることが全て史実であるかのように・・・・司馬遼太郎の巧妙な筆致にまんまと騙された読者は私だけではあるまい。◯◯史観などという歴史の見方がいかに如何わしいものか再認識させられる。2023/12/04
CTC
7
司馬さんは歴史家ではないし、氏の様々な著作からは日本の歴史と風土への深い愛情が感じ取れる。列強の戦車と比較したら、棺桶のような戦車を駆らねばならなかった帝国陸軍見習い士官だった司馬さんが、旧軍の精神主義を忌み、その根源を考えた時に、軍旗の神聖化や、突撃精神の強調と関連があって、劇的な死で神格化されてしまった乃木大将に拘った、というのは充分理解がいく話。高校生の頃の私ですら『殉死』に、司馬さんの複雑な想いを読み取ったけどなぁ。。半藤さん、村上春樹の文字も大きく踊る帯に騙されて買ったんが、こいつは酷い。2015/04/15
長島芳明
6
主婦の友文庫の『「坂の上の雲」に隠された歴史の真実―明治と昭和の虚像と実像』『司馬遼太郎の「意外な歴史眼」を追加』の二つを補強する内容。序文で前記二作で書き足りなかった部分や熟考した部分を補強した決定版とことわっているが、重なる部分は少なく新作に近い。ノモンハン事件や旅順攻略や山本五十六、そして司馬作品を考察したい人にお勧め。著者自身、熱狂的な司馬作品の愛読者ゆえに鋭い批判ができるのだろう。さくさく読める。2014/03/25