内容説明
本書は、石原慎太郎の「永遠の青年」性の謎と、不可思議な自殺を遂げた江藤淳の「死」の謎を思想的に解明しようと試みた書であり、渡辺氏がそのための武器として見出したのは「性的比喩としての国家論」という極めて斬新な観念である。
目次
第1部 異端としての「父」―石原慎太郎の世界(「海」と敗戦;「八月革命」の少年たち;「父」なる「海」;石原家の母;「父」の死;『処刑部屋』と「アメリカ」への予感;国家の中の「青年」;石原慎太郎と江藤淳)
第2部 虚構された「中性」―軍隊で殴られた知識人たち(『虹色のトロツキー』と辻政信;「絶対悪」の復活;「私的制裁」とは何か;『空気の研究』と「中性」;「中間派知識人」たちの「反日」;コミュニストたちにとっての性的国家;軍隊のなかの「女権」)
第3部 「母」なる日本へ―江藤淳の過激なる回帰(『妻と私』の異常性;江藤淳と「アメリカ」;偽の「父」;山崎正和と西部邁の「アメリカ」;『一族再会』の方法;祖母という「父性」;江藤淳と三島由紀夫;「再会」と「回帰」の果て)
著者等紹介
渡辺望[ワタナベノゾム]
評論家。1972年、群馬県高崎市生まれ。早稲田大学院法学研究科・刑事法研究室修了。雑誌『正論』を中心に独自の文芸批評を展開(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Honey
7
成長期の人間に、その時の社会的背景や生育環境が影響を及ぼすのは自然な事と思うけれど、それが感性鋭敏な文学者の作品にはそれぞれの政治思想のようなものとして読みとれるのですね。 石原慎太郎と江藤淳…文学に疎い私にも、非常に興味深い切り口で、新鮮な国家論でした。2018/02/07
うえ
0
なかなか読ませる。右でも左でもなく中韓派知識人(山本七平)の目論見が成功した日本。「石原には、どうも江藤(淳)が考えるような、国家との激しい密着や離反というようなドラマティックなものはみてとることができない」2013/08/08
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