内容説明
人は誕生以来、親子の身体関係から始まり、ことばの習得やしつけ、礼儀など社会が造りだす多くの習慣と知恵を身につけながら成長する。しかし自我が発達し他者と社会から距離をとり対象化されると、そこで対話が問題となる。第一部では、対話者の応答を鏡として自分の姿や課題に気づき、人格を磨いていく。自然との対話では大いなる世界の意志を感じ、友愛により協働の喜びを知る。対話と協調を通して生活の向上を探求し、他者と社会との関係を通して人格を形成し、生きる意味と充実が明らかになる。第二部では、古代から現代にいたる文学作品や聖書などを通して、対話のもつ知恵と生動的な姿が紹介される。対話はおしゃべりではない。話すべき内容を共有しそこに焦点を当てて誠実な応答をするのが基本である。それにより考える力が養われ、創造的な人間になれるのである。よくあるように、話を逸らしたり、関係のない話題に変えてはぐらかしたりするのは、真実の対話ではない。伝統的な理想モデルの応用では、これからの情報化やグローバル化による人類の課題には応えられない。未来へ羽ばたこうとする若者とりわけ高校生には、世界人として思考力を鍛える対話の修練は、この上ない機会となろう。
目次
第1部 対話の現代的な意義(対話と協調の時代;対話の能力―人間の対話的本性;対話の基本運動;対話と生活の向上;自然との対話;対話の協働と人格形成;対話と共生思想;友愛現象と協働律;対話哲学の歩み―ブーバーからシュトラッサーまで)
第2部 対話の実例(アンティゴネーの悲劇―クレオンとハイモンの対話;ソクラテスとカルリクレス;ナルキッソスとエコー;ダビデ王と預言者ナタン;イエスとサマリアの女の物語―ヨハネ福音書四章二三‐二四 ほか)
著者等紹介
金子晴勇[カネコハルオ]
昭和7年静岡県に生まれる。昭和37年京都大学大学院文学研究科博士課程修了。聖学院大学総合研究所名誉教授、岡山大学名誉教授、文学博士(京都大学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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