ハヤカワ文庫
震えるスパイ

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  • サイズ 文庫判/ページ数 524p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784150411770
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

英国の大学院生ルースは、母親のサリーが命の危険を感じて書いたという手記を読み、驚愕した。母は本名をエヴァ・デレクトルスカヤといい、第二次大戦中は英国の諜報員として対独情報工作やアメリカを参戦させる作戦にも加わっていた。だがそこで彼女は死の危機に見舞われたのだった。そして1976年の今、母から依頼された調査を始め、ルースは驚くべき事実を知ることに。コスタ賞最優秀長篇賞を受賞した本格スパイ小説。

著者等紹介

ボイド,ウィリアム[ボイド,ウィリアム][Boyd,William]
1952年、当時英国領だったガーナの首都アクラに生まれる。フランスのニース大学、スコットランドのグラスゴー大学、オックスフォード大学で学び、1980年から83年までオックスフォード大学のセントヒルダズ・カレッジで現代英文学の講師を務める。1981年に発表したデビュー作の『グッドマン・イン・アフリカ』で英国の主要な文学賞であるウィットブレッド賞の最優秀処女長篇賞とサマセット・モーム賞を受賞。その後次々と話題作を世に送り出し、2006年に9作目の長篇にあたる『震えるスパイ』を発表、ウィットブレッド賞を改称したコスタ賞の最優秀長篇賞を受賞した。ブルース・ベレスフォード監督で映画化された『グッドマン・イン・アフリカ』などの映画・テレビドラマの脚本も数多く手がけている

菊地よしみ[キクチヨシミ]
1951年生、東京大学文学部仏文科卒、翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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ケイ

99
原題は“Restless” スパイは常に警戒を怠らない、そして、怠れない。さすが『アイスクリーム戦争』の作者。ル・カレの国の小説家。母同様、娘の周りも不穏。彼女の周りの男たちの国籍はなんなんだ! 今にあてはめて気になる記述はいくつかあった。現在のウクライナを思わせるところは怖いね。「連中は我々に手を貸すだろうし、できる限りの援助はするだろう……我々が持ちこたえる限りは」「発信される意見や影響力、様々な、学識者や有名キャスターたち、それらはすべて米を参戦させるためのものなのか」(p237)2023/03/06

MATHILDA&LEON

27
自分の母親が突然『私はスパイだった』と宣ったら、どんなに衝撃的だろう。スパイ小説にカテゴライズされるが、派手なシーンは一切なく、どちらかと言うと静かに物事が進んでいく、地味な雰囲気。しかしながら、間延びすることなく様々な事が起きるので、読んでいて飽きが来ない。これと似たようなことが現実にあったのかと思うと、何だか堪らなくなるな。2018/03/19

コージ

3
柔らかい語り口。シングルマザーの娘が5歳の息子を連れて田舎の母親の家に行く。息子が「おばあちゃん」って、まるでジブリ映画を観ている様。そこから骨太のスパイ小説が始まる。自分の母親から「私は昔イギリスのスパイだったの」。母親の第二次大戦の章はグイグイ惹き込まれる。娘の章ではホッとひと息入れられる。これが交互に続くから飽きない。イギリス諜報部はなんとかアメリカに参戦させようとドイツよりもアメリカに欺瞞工作を仕掛けるところが自分にとっては新鮮。ラストの母親が双眼鏡で森を観察。もう解放してあげて‼。と思った。2020/03/17

Panzer Leader

3
登録している人は少ないけれども、久々に読み応えのあるスパイ小説に出会った。第2次世界大戦前中のエヴァの視点と現在(と言っても1976年辺り)のルースの視点から物語が進んでいく。スパイ物・背景が第2次大戦前後・派手でなく淡々と語られるストーリーと自分の好みに合った作品。ただ邦題はもうちょっと考えて欲しかった。2014/08/07

YOMIPITO

2
廃棄寸前本の棚から掘出し物。最近、半世紀前くらいを舞台にした小説/映画にハマっているのもあり、大変面白かった。 舞台は1976年のイギリス。主人公は28歳シングルマザー。離れて暮らす65歳の母が突如何やら警戒しだして1940年前後にスパイとして活動していた手記を主人公に渡す。手記と現在が交互に語られる構成は話がどう転がるのか分からず最後まで引っ張られた。 何より良かったのは母娘の強さ。依存しあってるわけでなく、それぞれ女性として独立してるんだよね。そのため、他のスパイ小説とは一線画す読後感。2024/07/25

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