内容説明
中央銀行は自由な市場メカニズムを尊重し、通貨価値の安定と維持を担い、それとともに政治的中立性と自律性を保つことが要請されている。そのための責務は「物価の安定」と「金融システムの安定」を両輪として「通貨の安定」を維持することにある。本書は世界の中央銀行について内外の文献や資料を駆使して歴史的な経緯と現状を観察しつつ、わが国の中央銀行である日本銀行の実態を総合的に考察する。
目次
序章 中央銀行論の再構築をめざして
第1部 銀行券の債務性とシーニョレッジ(銀行券の本質と債務性;セントラル・バンキングとシーニョレッジ;銀行券の会計的把握;政府紙幣の本質およびヘリコプターマネー、統合政府、MMT)
第2部 中央銀行の「最後の貸し手」機能(「最後の貸し手」機能とバジョット再考;「最後の貸し手」機能についての日本銀行の考え方とその概念を拡張)
第3部 中央銀行の独立性と財務の健全性(日本銀行の独立性再考―法的位置付けと新しい挑戦;中央銀行の債務構造と財務の健全性―銀行券、準備預金および自己資本)
第4部 金融調節と内生的貨幣供給(日本銀行の金融調節と「日銀流理論」)
終章 中央銀行の本質を再考する―中央銀行の公共性、銀行性、独立性および一般原則
著者等紹介
小栗誠治[オグリセイジ]
滋賀大学名誉教授、博士(経済学)。1947年、佐賀県生まれ。1971年、一橋大学経済学部卒業、同年日本銀行入行。同行調査統計局、金融研究所、政策委員会室、考査局、業務局などを経て、1998年より滋賀大学勤務。同大学経済学部教授、理事・副学長を歴任。この間、2005年、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)にて在外研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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