内容説明
ランケは神学と自然科学の狭間でどのような新しい歴史学を目指したのか。近代国家の形成に向かう歴史過程で、フランス革命や三月革命など押し寄せる自由の運動と向き合いながら、実践的な国家統治の可能性を求めて、彼は葛藤した。そこには現代の歴史家がグローバル化の中で担うべき課題に通じるものがある。今や経験ではなく、歴史に学ぶべき時代になった。歴史学の原点に立ち戻り、歴史する心、歴史叙述とは何かを考えるための格好の書である。
目次
序 研究の現状と本書のねらい
第1部 歴史家ランケの形成
第2部 史料収集と史料批判
第3部 近代歴史学と救済史観との区別
第4部 新しい歴史感覚―「個性」と「発展」
第5部 現実政治とランケ
第6部 ランケと歴史学研究の組織化
結語 ランケと近代歴史学
著者等紹介
佐藤真一[サトウシンイチ]
1948年、東京都に生まれる。1970年、早稲田大学第一文学部史学科卒業。早稲田大学大学院文学研究科史学専攻博士課程を満期退学の後、1979‐81年、ドイツ学術交流会(DAAD)の奨学生としてドルトムント大学に留学。博士(文学、早稲田大学)。国立音楽大学教授を経て、国立音楽大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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