内容説明
周縁的社会集団の中でも、僧と白丁(柳器匠・皮匠)に注目し、身分概念では十分に捉えきれない彼らの社会的実態を史料に即して解明し、17~19世紀における近世朝鮮社会の変化を考察する。初めに、19世紀の戸籍大帳により僧と柳器匠の社会的位置を考察し、それらがいかに形成されてきたのかを15~16世紀に遡り、王朝実録や日記記事を用いて論述する。次に1675年の戸籍制度改革の前後、僧と柳器匠・皮匠が戸籍に登場し始める時期を取り上げる。また18世紀以降、柳器匠・皮匠の戸籍の把握と認識方法の変化により身分変動を再考し、寺庵内の諸集団の特徴、また公的負担とそれへの対応を考察。最後に、19世紀末1896年の甲午改革による新式戸籍と僧籍・屠漢籍の特徴を解明し、さらには寺・僧が王権と関わると同時に芸能民とも結びつく独特な存在だったことをも指摘する。従来の研究にはなかった周縁に着目し、僧や白丁の戸籍編成上の位置を解明、両班や良賎制理解への貢献とともに、近世の日本史や中国史研究者にも示唆に富む業績。
目次
第1章 19世紀朝鮮の戸籍にみる周縁的社会集団―慶尚道安義県戸籍大帳の僧と柳器匠
第2章 戸籍登載以前の僧・柳器匠に対する把握―15‐16世紀
第3章 僧および柳器匠・皮匠の登場―17世紀の戸籍大帳
第4章 柳器匠・皮匠の周縁化―18‐19世紀
第5章 柳器匠・皮匠/白丁の役・生業・組織と社会的位相―18‐19世紀
第6章 寺庵と僧・居士・舎堂―18‐19世紀
第7章 新式戸籍と僧籍・屠漢籍
著者等紹介
山内民博[ヤマウチタミヒロ]
1963年宮崎県生まれ、東京大学教養学部卒業、同大学院人文科学研究科博士課程単位取得。博士(文学)。新潟大学人文学部・同大学院現代社会文化研究科准教授。韓国・朝鮮史担当(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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