内容説明
「神」とか「キリスト」について、その意味を問うことは、一見宗教的で特殊な事柄のように思われる。しかしそれは時空を超えてすべての人に関わる問題である。このような立場から「ロゴス・キリストの受肉」「受難と復活」、そして「十字架による贖いと救い」といった問題を、「愛智の道行き」としての哲学の観点から「人間・自己の成立に関わる普遍的問題」として、素朴にかつ根源的に明らかにしようとする試みである。本書はこれらすべての問題の根底には神的エネルゲイア・プネウマの生動的な働きがあることを解明する。宗教と哲学を架橋する著者の到達点を示す貴重な一書である。
目次
第1章 原初的・使徒的経験とその成立根拠をめぐって―「ロゴスの受肉(神人性)」を証しするもの
第2章 証聖者マクシモスの「ロゴス・キリスト論」(『難問集』第一部「トマスに宛てて」)のまとめと展望
第3章 人間的自然・本性の開花・成就と神化の道行き―根底に現前する神的エネルゲイア・プネウマ
第4章 ロゴス・キリストの十字架と復活―神への道行きの内的根拠をめぐって
第5章 他者との全一的交わりとロゴス・キリストの現存―「受肉の神秘」の前に
第6章 神的エネルゲイア・プネウマの現存に思う―探究の道を振り返って
著者等紹介
谷隆一郎[タニリュウイチロウ]
1945年、岡山県生まれ、神戸に育つ。1969年、東京大学工学部卒業、1976年、東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得。九州大学教授を経て、九州大学名誉教授。博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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