内容説明
写真、映画などの映像表現・メディアにおいて、その企画・製作は多くの複層的なプロセスを経て生み出されており、それには個人的心情や事情だけでなく、時勢や社会の状況・構造などの影響を受ける。本書は太平洋戦争の戦時と占領期という時代的な転換期において、映像メディアと個人や社会の錯綜した関係を映像社会学の観点から明らかにしたユニークな業績である。
目次
第1部 写真家の誕生と戦時・占領(戦争とプロパガンダ―木村伊兵衛の上海・南京;勝者のプロパガンダ―木村伊兵衛の満洲;敗者のプロパガンダ―木村伊兵衛の東京)
第2部 つくり手の戦時・占領―近代的な映画会社・東宝(綴方がつなぐ記憶―山本嘉次郎の重層化した記録;屍体がつなぐ記憶―黒澤明の戦争の風景;死者がつなぐ記憶―今井正が語る戦争)
第3部 メディアとしての映画の戦時・占領(映画における普及と検閲―戦時期における制度と興行;語られなかったもの―映画雑誌などの娯楽雑誌にみる占領期の検閲の諸相;語られた復興の諸相―地方と中央の映画館事情;語られた民主主義の諸相―映画・娯楽調査を読み解く;過渡期としての占領期―響き合う文化の諸相)
第4部 新しい現実と古い現実―占領期における映像空間(占領期における遭遇と記録―アメリカ公文書館所蔵の映像群をどう捉えるか;浮浪児という子ども―抗争の場としての『蜂の巣の子供たち』;CIE映画・スライドの日本的受容)
著者等紹介
原田健一[ハラダケンイチ]
1956年、東京都に生まれる。映像、音楽の製作を行う。2005年、東洋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了学位取得(博士“社会学”)。2008年より、新潟大学人文社会科学系人文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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