出版社内容情報
ヘーゲル哲学の現代性とは何か? それは形而上学を批判して論理学に置き換え,「自然哲学」を構想し,人間学や法と国家の理解,また歴史の思想や芸術,宗教の哲学,そして哲学史を思想そのものの発展と見なす考え方に現れている。ヘーゲルの思想は過去のものではなく,現代思想の一つの重要な基準点である。
しかし今日の思想がヘーゲルと切り離されているのは,ヘーゲルの時代を歴史化し,19世紀半ばの「ドイツ観念論の崩壊」以来,「現代的」思想による実証主義的な簡略化と精神的な力の消滅による。思考を経験科学に限定する「現代的」なやり方にとり,精神や理性は古臭く,効用と機能への現代的関心の障害となる。だがヘーゲル哲学は,現代を理解するためだけでなく,時代を象徴する独断的な簡略化と硬直化を理解するのにも役立つ。
本書はヘーゲルの著作の発展史の概観と,ヘーゲルが提示し解決しようとした体系的な諸問題の概観を与え,最近の研究を位置づける試みである。著者は批判版ヘーゲル全集の編集を主導し,その研究はドイツ古典哲学全般に及ぶ。本書は文献学的歴史的研究の立場からテキスト・クリティーク,発展史,概念史,背景事情,影響史など最新の研究成果に基づいて,バランスの取れた斬新な解釈を展開する。確かなテキストに拠って,難解な内容を読み解くとともに,概念史から発展史,研究史に関する該博な知識を駆使,膨大な研究蓄積をも見渡して書かれた驚嘆すべき画期的な手引書である。ヘーゲル研究のみならず近代哲学の研究者にとっても本書は無視することができない基本文献となろう。
内容は生涯,作品,学派からなり,主要部である〈作品〉は,最初に記録された草稿や著作から最後の刊行物に至るまでを発展史的に叙述した前半部と,「エンツュクロペディー」の順序である論理学―自然哲学―精神哲学に従い,後期の講義において素描された「体系」を叙述した後半部より成る。また〈学派〉では1815-48年の三月革命期のヘーゲル学派の論争過程に焦点を絞って「影響の最初の決定的な局面」を考察し,その影響史の射程を定める。
凡 例
日本語版読者へのご挨拶
序 言
? 生 涯
0 シュトゥットガルト(1770-88年)
1 テュービンゲン(1788-93年)
2 ベルン(1793-96年)
3 フランクフルト(1797-1800年)
4 イェーナ(1801-06年)
5 バンベルク(1807-08年)
6 ニュルンベルク(1808-16年)
7 ハイデルベルク(1816-18年)
8 ベルリン(1818-31年)
? 作 品
1 テュービンゲンからベルンへの移転(1793-94年)
2 ベルン時代の構想(1795-96年)
3 フランクフルト時代の構想(1797-1800年)
4 イェーナ時代の著作と構想(1801-06年)
5 バンベルク時代の論考と断片(1807-08年)
6 ニュルンベルク時代の著作と構想(1808-16年)
7 ハイデルベルク時代の著作(1817-18年)
8 ベルリン時代の著作と構想(1821-31年)
9 ハイデルベルク時代およびベルリン時代の講義(1816-31年)
? 学 派
1 三月革命を前にした時代の初期における哲学の状況
2 宗教をめぐる論争
3 法と国家をめぐる争い
4 形而上学をめぐる論争
訳者あとがき
訳者一覧
年 表
文献案内
著作一覧
人名索引
地名索引
事項索引
ヴァルター・イェシュケ[ヴァルター イェシュケ]
著・文・その他
神山伸弘[カミヤマノブヒロ]
監修/翻訳
久保陽一[クボヨウイチ]
監修/翻訳
座小田豊[ザコタユタカ]
監修/翻訳
島崎隆[シマザキタカシ]
監修/翻訳
高山守[タカヤママモル]
監修/翻訳
山口誠一[ヤマグチセイイチ]
監修/翻訳
内容説明
本書はヘーゲルの著作の発展史の概観と、ヘーゲルが提示し解決しようとした体系的な諸問題の概観を与え、最近の研究を位置づける試みである。著者は批判版ヘーゲル全集の編集を主導し、その研究はドイツ古典哲学全般に及ぶ。本書は文献学的歴史的研究の立場からテキスト・クリティーク、発展史、概念史、背景事情、影響史など最新の研究成果に基づいて、バランスの取れた斬新な解釈を展開する。確かなテキストに拠って、難解な内容を読み解くとともに、概念史から発展史、研究史に関する該博な知識を駆使、膨大な研究蓄積をも見渡して書かれた驚嘆すべき画期的な手引書である。ヘーゲル研究のみならず近代哲学の研究者にとっても本書は無視することができない基本文献となろう。
目次
1 生涯(シュトゥットガルト(1770‐88年)
テュービンゲン(1788‐93年)
ベルン(1793‐96年) ほか)
2 作品(テュービンゲンからベルンへの移転(1793‐94年)
ベルン時代の構想(1795‐96年)
フランクフルト時代の構想(1797‐1800年) ほか)
3 学派(三月革命を前にした時代の初期における哲学の状況;宗教をめぐる論争;法と国家をめぐる論争 ほか)
著者等紹介
神山伸弘[カミヤマノブヒロ]
1959年生まれ。一橋大学大学院社会学研究科社会学専攻博士課程単位取得退学、跡見学園女子大学文学部教授(哲学)
久保陽一[クボヨウイチ]
1943年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科哲学専攻博士課程単位取得退学、文学博士(東京大学)、駒澤大学名誉教授
座小田豊[ザコタユタカ]
1949年生まれ。東北大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学、東北大学総長特命教授(東北大学名誉教授)
島崎隆[シマザキタカシ]
1946年生まれ。一橋大学社会学研究科博士課程単位取得退学、博士(社会学)、一橋大学名誉教授
高山守[タカヤママモル]
1948年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退、東京大学名誉教授
山口誠一[ヤマグチセイイチ]
1953年生まれ。東京都立大学大学院人文科学研究科哲学専攻博士課程単位取得退学、法政大学文学部教授(哲学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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