地獄と煉獄のはざまで―中世イタリアの例話から心性を読む

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地獄と煉獄のはざまで―中世イタリアの例話から心性を読む

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  • サイズ A5判/ページ数 552p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784862852311
  • NDC分類 198.24
  • Cコード C3022

出版社内容情報

14世紀の黒死病(ペスト)の大流行の中で,これを神の罰として恐れたヨーロッパの人々は,霊魂を治癒し浄めるため改悛して神に赦しを請うた。また地獄の無限の責め苦に対し,従来は通過儀礼的だった煉獄観も有限な劫罰の場として深刻に受け止められていく。
模範的な訓話であった「例話」を用い,地獄や煉獄,贖罪,性欲などの事例を通して神の恩寵や信仰の大切さが説かれるなか,托鉢修道会は救済のために聖職者用の手引として例話を編集した。本書では,主として扱っているドミニコ会司祭パッサヴァンティの例話集『真の改悛の鑑』の初めての近代語訳を試みるとともに,テキストの丹念な分析と詳細な注解で,ペストや飢饉による終末的危機からの救済を求めて必死に生きる中世の人々の思考や行動を明らかにする。
富裕層は死後の救済を求めて教会に多額の金銭を寄進し,高まりゆく信仰への情熱は多くの教会建築や絵画を生み出した。それらに関するイタリアを中心とした二百数十点に及ぶ著者の手による写真と簡潔な説明は,14世紀の危機を生きた人々のありのままの姿を見事に伝え,近代へと転換する時代の予兆を示している。

凡例
略記
謝辞

 第?部 序論

一 キリスト教と「改悛」
二 パッサヴァンティの例話集の書かれた背景
三 例話とパッサヴァンティの作品
四 パッサヴァンティの生涯
 付記

 第?部 パッサヴァンティ『真の改悛の鑑』(全四九話)

第一話 死から蘇生した男と地獄の罰
第二話 裕福に育てられた若いドミニコ会士
第三話 死に際で回心した騎士
第四話 天使と悪魔の言い争い――自堕落な騎士の霊魂をめぐって
第五話 ある罪人の死
第六話 聖アンセルムスの見方と人間の愚かさ
第七話 マコンの領主
第八話 教えに背いた息子と死んだ母親の叱責
第九話 聖マカリウスとしゃれこうべと地獄の罪
第一〇話 地獄で苦しむ学生,教授の前に現わる
第一一話 ?獄での「女狩り」の責め苦――ヌヴェールの炭焼き屋
第一二話 サレルノの君主と地獄の火の予感
第一三話 悪魔に殴打された聖アントニウス
第一四話 聖アンブロシウスと幸福すぎる宿屋の主人
第一五話 立派な騎士と裏切られた悪魔
第一六話 托鉢修道会――聖ドミニクスの幻覚
第一七話 浪費家の青年騎士と聖母の憐れみ
第一八話 ある娼婦の改悛と贖罪
第一九話 近親相姦と父親殺しの過去をもつ娼婦
第二〇話 地獄に堕ちた大聖堂参事会員――その告解と改悛
第二一話 フランスの貴族と地獄の永遠の罰
第二二話 改悛のもたらす効力――学生の犯した罪とその不思議な赦免
第二三話 改悛のもたらす効力――人殺しの学生と悔悟した妹
第二四話 告解を回避した罪と聖フランチェスコの祈?による蘇生
第二五話 告解の不可思議な効力――アラスの異端者と神の審判
第二六話 悪魔に憑かれた修道士と告解で隠した罪の暴露
第二七話 悪魔憑きの男と無効な告解
第二八話 不倫をした司祭,馬小屋のなかで告解を受ける
第二九話 情事をした司祭――降誕祭ミサと白鳩の奇跡
第三〇話 盗賊となった修道士の臨終の告解と?獄の罰
第三一話 ある海賊の誓い――告解聴聞師と贖罪
第三二話 ある修道女の堕落と聖母の敬虔な赦免
第三三話 傲慢な修道士,女に化けた悪魔の誘惑に乗る
第三四話 聖修道院長の思慮ある謙遜
第三五話 冒?のことばを吐いた聖職者
第三六話 アルキビアデスの栄光と没落
第三七話 悪魔払いが悪魔に憑かれる
第三八話 謙虚の美徳と聖書の解釈
第三九話 謙遜の美徳と聖アントニウス
第四〇話 マカリウスの謙遜が悪魔を打ち負かす
第四一話 聖ヒラリウスの高められた謙譲
第四二話 この世の栄光はかくのごとくはかない
第四三話 人間よ,忘れるなかれ
第四四話 謙虚さから豚の世話をした聖師父
第四五話 軽蔑された聖徳なる人の謙譲さ
第四六話 テミストクレスの虚栄
第四七話 パウサニアスとエロストラトスが抱いた名声への愚かな欲求
第四八話 キケロの徒として有罪宣告を受けたヒエロニムス
第四九話 不当に責められる悪魔

 第?部 カヴァルカ例話選集

[訳者の解説]
第一話 キリスト教徒は復讐をしない
第二話 不平を言うな
第三話 神の裁きと人間の裁き
第四話 アレクサンドリアのヨハネ大司教と商人

おわりに――中近世人の心性を把握するポイント

初出一覧
解説注

石坂尚武[イシザカナオタケ]
著・文・その他

内容説明

本書では、ドミニコ会司祭パッサヴァンティの例話集『真の改悛の鑑』の初めての近代語訳を試みるとともに、テキストの丹念な分析と詳細な注解で、ペストや飢饉による終末的危機からの救済を求めて必死に生きる中世の人々の思考や行動を明らかにする。富裕層は死後の救済を求めて教会に多額の金銭を寄進し、高まりゆく信仰への情熱は多くの教会建築や絵画を生み出した。それらに関するイタリアを中心とした二百数十点に及ぶ著者の手による写真と簡潔な説明が、14世紀の危機を生きた人々のありのままの姿を伝え、近代へと転換する時代の予兆を示している。

目次

第1部 序論(キリスト教と「改悛」;パッサヴァンティの例話集の書かれた背景;例話とパッサヴァンティの作品 ほか)
第2部 パッサヴァンティ『真の改悛の艦』(全四九話)(死から蘇生した男と地獄の罰;裕福に育てられた若いドミニコ会士;死に際で回心した騎士 ほか)
第3部 カヴァルカ例話選集(キリスト教徒は復讐をしない;不平を言うな;神の裁きと人間の裁き ほか)

著者等紹介

石坂尚武[イシザカナオタケ]
1947年千葉県生まれ。同志社大学大学院文学研究科修士課程修了。現在同志社大学教授。博士(文化史学)(同志社大学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。