内容説明
歴史的なものの考え方の特質とは何か。歴史学とはいかなる学問か。古代ギリシアから現代のアナール学派にいたる歴史叙述の歴史を個々の歴史家とその著作に即して辿ることにより、ヨーロッパ史学史全体の見取り図を描こうとする意欲作。
目次
1 古代ギリシアの歴史叙述(歴史叙述の誕生―ヘロドトス;批判的歴史叙述の追求―ツキディデス ほか)
2 キリスト教の歴史観(「時の中心」と救済史―ルカ;「神の国」と「地の国」―アウグスティヌス)
3 近代歴史学の形成(現実政治と歴史叙述の世俗化―マキァヴェッリ;宗派時代の教会史叙述―フラキウスとバロニウス ほか)
4 第一次世界大戦後の歴史学(第一次世界大戦と国家理性の行方―マイネッケ;アナール学派と「心性史」―マルク・ブロック)
著者等紹介
佐藤真一[サトウシンイチ]
1948年、東京に生まれる。1970年、早稲田大学第一文学部卒業。早稲田大学大学院文学研究科博士課程を経て、1979‐81年、DAADの奨学生としてドルトムントに学ぶ。国立音楽大学教授。早稲田大学(一文、政経)非常勤講師。文学博士(早稲田大学)。ドイツ近代史、ヨーロッパ史学史、専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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すがの
3
記憶が確かであれば、大学ではじめて買った専門書。史学史への興味から購入、部分的に読みずっと放置していたが、改めて通読。ヘロドトスからはじめて歴史家を取り上げてヨーロッパ史学史の道程の概観を示す。循環史的な古代から、キリスト教的救済史観をへて、マキャベリ、マビヨンによって開かれた世俗的・客観的な歴史叙述はランケで到達を見る。WWI後の歴史学ではマイネッケと、ランケ史学へのアンチテーゼを提出したアナール学派初期の代表選手、マルク・ブロックについて。要所要所で食い足りない感じがあるが、概観には適する本だろう。2016/10/24