感想・レビュー
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じろ
1
ベルナールやアベラールより若い世代にあたり、古典古代の思想の中でもとくにキケロから影響を受けたソールズベリのジョンは、蓋然性に重きをおく十二世紀の人文主義者。中世に多く書かれた『君主の鑑』とよばれるジャンルの著作を彼もまた書いた。国家を一つの身体とみなし、君主を頭、聖職者を霊魂、農民を足に例えたその本は、あくまで君主への感化を狙った人文主義的なもの。彼の暴君論はキケロに倣い暴君の殺害を半ば認めてはいるように見えるが、あくまで祈りこそが暴君に対する最善の手段とする点で、穏健で、同時にいかにもキリスト教的。2014/11/12