内容説明
18世紀から20世紀に至るイギリスの建築とデザインに焦点を当て、時代精神が芸術的創造行為に及ぼした影響を検討し、建築史やデザイン史の研究を広く文化史のなかに位置づけ、生きた時代精神を表現媒体とする建築・デザイン研究の新たな視点と方法を試みた画期的業績である。啓蒙主義により方向づけられた18世紀の新古典主義建築に対して19世紀には反新古典主義建築が展開した。それら対抗する様式思想について、ピクチュアレスクとゴシックリヴァイヴァルという二つの芸術史上の潮流を通して解明するとともに、それを担ったアダム兄弟やピュージンなど芸術家についても独自の考察を展開する。
目次
第1章 「囚われることのない精神」―「国民性」と「時代精神」
第2章 新古典主義―「イミテーション」の芸術
第3章 ピクチュアレスク論とイギリス啓蒙主義美学
第4章 ピクチュアレスク建築―「幾何学的建築」の予見
第5章 趣味と富と徳―啓蒙主義時代の都市デザイン
第6章 一九世紀様式論争―異教的建築批判の展開
第7章 ゴシック・リヴァイヴァルとオックスフォード運動
第8章 国民的様式としてのゴシック―イギリス国会議事堂
第9章 二〇世紀様式論争―異教的建築批判のその後
著者等紹介
近藤存志[コンドウアリユキ]
1971年、東京生まれ。筑波大学芸術専門学群デザイン専攻建築デザイン・コース卒業。英国エディンバラ大学大学院博士課程修了。Ph.D.(エディンバラ大学)。筑波大学芸術学系助手等を経て、聖学院大学人文学部准教授。専門分野:イギリス芸術文化史、建築史、デザイン史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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