感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
水色系
13
装丁の箔押しが素敵すぎて惚れました。いいないいな。生活を営んでいくうえでの儚い、よんどころない一瞬のとらえ方が丁寧で、大好き。/ねむらないのに目は閉じて沈みこむ午後にひらけるシーツの沼地(P77)/夜歩くわたしは住んでいた窓に揺れるあかりの幽霊みたい(P105)/ひとまわり季節をねむる上着からこぼれて落ちる銀紙の星(P109)2024/03/24
qoop
7
ツルツルした装丁に惹かれつつ、触ると指紋がつき汚してしまう。一度汚せばある意味諦められて自分のものという思い切りもつく。それに対して本書の内容には指紋を押せない、自分のものと出来ない、厚くて透明の膜を感じる。平易な言葉の連なりを、素直に取れない距離を感じる。以下は中でもすんなり読めた二首。/わたしを覚えていてね食パンの留め具にゆるく指を咬ませる/三年は三枚となるレントゲンの肺よきれいな空き地のままに2024/03/25
toki12
3
「ともだちとお酒を飲めば起き抜けの肝臓に言葉がつっかえている」 夜を着こなせたなら/山階基/短歌研究社 ➖➖➖ 生きるってそういうことだよな、という歌が多い。うまいなぁ。 トイレットペーパーを両手に持っての歌も好き。 箔フェチとしては名久井直子さんの装丁が素敵すぎて。飾りたい。2024/03/20
haji
1
第一歌集よりも憂鬱ややるせなさを飲み込んで生きていくような強さや切なさが感じられた。日常のディティールの描写力や"てにをは"の配置の妙が魅力的。好きな歌→「夏に秋ふかく差し込む曇り日の川面はアルミホイルのように/p.8」「オムレツを食べ終え悩みくしゃくしゃになる髪の毛はバターの匂い/p.10」「チョロQはきつく助走をしたあとにブレーキがないことに気づいた/p.16」「だけどいてほしい牛乳寒天をくずして白く濡れている匙/p.118」「生きかたはひとつではない生きかたはひとつしかない箸置きの鳥/p.124」2025/02/24
まくだ
1
「染みていくインクのように暮らしたい小さな川の流れる地図に」2024/04/22