出版社内容情報
松村由利子[マツムラユリコ]
著・文・その他
内容説明
『みだれ髪』の鮮烈なデビューから120年。新しい女性の時代を予見し体現した、与謝野晶子の言論人生を明らかにする。時代と社会への鋭利な視線。それは21世紀的なものだった。「恋愛歌人」というお仕着せを剥がし、民主主義を希求し続けた姿に迫る本格ノンフィクション。
目次
第1章 新聞と晶子
第2章 表現の自由を求めて
第3章 社会事象を追う
第4章 嵐の時代に
第5章 憧れのパリへ
第6章 女性記者へのまなざし
第7章 大正デモクラシーの中で
第8章 労働の本質
第9章 学び続ける人生
第10章 カルピスと百選会
第11章 メディアの世界に生きて
著者等紹介
松村由利子[マツムラユリコ]
1960年、福岡市生まれ。歌人。朝日新聞、毎日新聞記者を経て、2006年からフリーランスのライターに。歌集に『大女伝説』(葛原妙子賞)、『光のアラベスク』(若山牧水賞)など。著書に『31文字のなかの科学』(科学ジャーナリスト賞)、『与謝野晶子』(平塚らいてう賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Nobuko Hashimoto
21
先月の書評連載に取り上げた『よみがえる与謝野晶子の源氏物語』で参照されていた本。こちらは晶子の社会評論活動に焦点を当てている。歌人として一世を風靡した晶子だが、パリから帰った頃から社会批評に重心を移し、大量の文章を発表している。ジェンダーの問題や国際化についての考察など、今読んでも先進的で鋭い(逆に言えば百年経っても日本社会はさほど変わっていない?)。思わず授業で熱く紹介してしまった。続けて晶子の書いたものを読もうかな。2023/05/25
わいほす(noririn_papa)
7
新聞記者から歌人になった著者が、新聞記者を最上の職業と語った与謝野晶子のジャーナリストとしての一面に惹かれるのはある意味必然で、熱い思いがひしひしと伝わってくる。当時、スペイン風邪流行前に手洗いと密集を避けろと論じた正確な慧眼、そして平安時代の清少納言らから女性の高等教育を語り、平塚らいてうとの母性保護論争からカルピスのキャッチコピーまで、その活躍の広さと思考のユニークさに驚かされる。あの時代に、男女平等の教育と労働を政策ではなく個人の自立と向上に求める論説は、ときに現代をも飛び越えてしまうほどに先進的。2022/11/25
yumicomachi
4
主に言論人としての晶子に迫る一冊。堺の商人の家に育ち、高等教育を受ける機会を持たなかったがゆえに、国や政府の支配からの独立心と自らを教育する気概を持っていた晶子の姿に背筋が伸びる思いがする。いわゆる「母性保護論争」の全体像と晶子の立場を知ることができたのもよかった。もちろん歌人・文学者としての晶子の面も描かれている。批判精神に富んだ連作やニュース短歌、コピー短歌などを詠んでいたことなどが紹介される。20年余り新聞社に勤務していた歌人である著者にしか書くことのできない本ではないだろうか。2022年9月発行。2023/03/24
nanaco-bookworm
3
力作。与謝野晶子さんと平塚雷鳥さんについて同じ青鞜の方という程度の認識しかなかったが、こんなにも違うのだと知った。まるまる1冊どこにも手抜きが感じられなくて全部に魂が込められている。記者は最上(最高)の職業である、という言葉が何度か出てきたが、松村由利子さんご自身も、もと新聞記者。松村由利子さんのこの本から与謝野晶子さんを伝えようとする熱、姿勢が伝わってきた。こんなに膨大な資料をもとに書かれたとはすごい。ますますファンになった。与謝野晶子さんのファンにもなった。表紙もすてき。2023/08/22
takao
2
ふむ2023/12/27