感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ワッピー
39
フラワーしげること、西崎憲氏の第二歌集。第一集の「ビットとデシベル」に比べると、ダークで小説的な自由律の歌が多いと感じます。『これはテストだとあいつは言っておれは水にはいる』『起きた上半身が歯ブラシを使っていると大きなものが家をまたぐ』。この歌集の伝染力は甚だしく、読了後、何を見てもエセ自由律的なフレーズが頭に浮かぶようになりました。思考と言葉の波長が一時的に合ってしまった結果かもしれませんが、もしかしたらこれはカルト歌集になるかも。特に『果実のなかの夜』はネイティブ・アメリカンの詩を集めた絵本 ⇒2022/11/18
paluko
9
「いいんだよもう人を殺してもよくなったんだ ほら テレビ ごらん」「これはテストだとあいつは言っておれは水にはいる」……第一歌集『ビットとデシベル』とは趣が変わって、なんかダークというか終末感が濃い。一気読みすると、その後口から出る言葉が80パーセント自由律短歌になる呪いがかかります。たぶん2022/11/18
qoop
5
自由律という以上に自由な心地良いリズム。破調ながら(故に)定型を上書きする新鮮なリズム。自然体と技巧が滑らかに溶け合うように肩肘張らず、しかし驚きを覚える歌。著者の後書きを考慮すれば、記憶に残る棘を含みつつ肌触りの良い歌。/十月の朝にパンのかけらをたどっていっていまの主人と結婚しました/三田さんだったから給湯室が暗かったのか 三田さんは目が見えない/映画っていうのか、なんでこんな暗いところでみんな見てるんだ 窓開けろよ 不健康だろ/夢のなかのまちがった国のゆるキャラにしか見えないトランプ大統領は2022/09/30
うさぎや
5
第2歌集。好きな歌は「わたしの望むことはあなたがたのいない世界で春を見ることです」「雨がふっているけれどおれはそう思わない 濡れているがそう思わない」「宇宙船地球号という言葉をみてそうかそれでおれはずっと船酔いだったのかと思う」。2022/08/15
おーえ
4
目の前に差し出された世界をそのまますぐに破壊されて脳が揺さぶられる感じがたまらなくいい2022/08/28