内容説明
2013年第56回新人賞受賞作「目覚めればあしたは」から「短歌研究」連載まで8年間の作品。待望の第一歌集。
目次
1(花籠に花;チーズと火薬;天国;記憶;朝 ほか)
2(ただ一人;春の雨/冬はまづ;目覚めればあしたは;狐;うつつの栓 ほか)
著者等紹介
山木礼子[ヤマキレイコ]
1987年熊本県に生まれる。2010年東京大学文学部卒業。2009年「未来」の岡井隆選歌欄へ入会。2011年未来賞受賞。2013年「目覚めればあしたは」で第56回短歌研究新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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太田青磁
10
呼ばれるがままあるがまま流れゆく親と子供と問診票は・安眠アプリから鳴りだした波音の夜のみぎはへまぎれゆくまで・地上より明るい地下の入口を見下ろせりだれの手も握らずに・二時に外し六時につけるコンタクト 呼ばれしやうになみだ出でくる・のりこえよう としたがうつかり蹴りとばすブロックの家に天井がない・木でなくなる際に自分が木だつたと気づくのか葉をさらはれながら・鳩時計が息継ぎながら鳴きをはる鳩にとつてはながい時間を・四大文明いづれも河に生れしこと 冷水機のペダルをゆるく踏む2021/10/05
アキ
1
子どもの歌、そしてその子どもを通して自らの生活を振り返る歌が多かった。口語、文語の歌が交じり合いつつ、特に口語の歌の多くは想いを吐露する際に用いられていると感じた。「枝先がまた膨らんで待つて待つてそんないつせいに咲かなくても」「帰りたくないと泣かれて何のためにここへ来たのか保育所は夜」「子の頬へ口づけるときぼんやりとよだれの跡を避けてゐること」「だれからも疎まれながら深々と孤独でゐたい 月曜のやうに」「会釈では済まないせゐで微笑んでしまつた樹下に風受けながら」2022/05/04
すずちう
0
短歌という詩型がもつ極私性というか、セルフセラピー性みたいなことを思った。研究に連載された一連がやはり白眉で、問題作でもあると思う。2021/10/23