内容説明
社会への怒りと苦悩、希望と諦念、歓び、割り切れない思い―。ありのままの裸の姿をつむぐ、心に突き刺さる370の歌。短歌研究新人賞を受賞し、衝撃デビューをはたした最注目歌人の第一歌集。
目次
1 無垢な日本で(メタリック;血流は雨)
2 Ilha Formosa(絵手紙をかく;サドンデス・ゲーム ほか)
3 ページェント(秋雨は亀裂;ある春の記憶 ほか)
4 川は流れる(残照;おやすみ、ドロシー ほか)
著者等紹介
小佐野彈[オサノダン]
1983年、世田谷区生まれ。1997年、慶應義塾中等部在学中に作歌を始める。2007年、慶應義塾大学経済学部卒業。大学院進学後に台湾にて起業。2017年、「無垢な日本で」で第六十回短歌研究新人賞受賞。「かばん」所属(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
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KI
33
赤と青 混ぜた紫 見て僕は いちたすいちの 正解を知る2020/06/28
takizawa
3
新進気鋭の歌人・小佐野彈さんのデビュー作で、わたくし、つまりNobody賞を受賞したことでも話題になっていた歌集。言葉の選び方がとにかく綺麗だし日本語ってこんなに可能性があるんだと思わされる。YouTubeのように将来必ず注釈が必要になりそうな語彙を用いる一方で、いくつかの作品では本歌取りしていたりして、古典に敬意を払いつつ今この時を描こうとしているのが重奏的で良い。表紙もめちゃくちゃ凝ってて触ると凹凸があるんですよね。とりあえず一番気に入った歌→かげろふのやうにゆらりと飛びさうな続柄欄の「友人」の文字2021/03/14
toron*
2
赤鬼になりたい それもこの国の硝子を全部壊せるような 簡単に土下座できるといふ君の鶏冠のごとき髪を撫でたし 上向きに煙吐き出す癖のこと秋来るごとに思ひ出すべし 感染者の平均余命淡々と告げられながら飲むスムージー 短歌研究新人賞受賞作の『無垢な日本で』がすごく良かったのと第二歌集の『銀河一族』も気になっていたので。歌の調べがきれいで、解説でも触れられていたけれど、定型感があり、「今」を詠んでいるものの語彙やモチーフに難解なものがないのも良かった。引いた歌の中では三首目「~べし」の使い方が好だった。2022/02/24
Cell 44
2
とても良かった。野口あや子も解説で触れているが作歌の感覚はむしろ古典的で、定型や修辞のバランスが常によく、さわりやすい。作中主体のゆらぎ、どうしても既存の社会通念のかたわらに立ってしまうような瞬間まで描いていることに、私もそういう場合が非常に多くあるので、こう言ってしまってよければ、なにか大きな慰めを得た。2020/11/30
モジモジアニキ
1
ポリティカルな拒絶と社会の断絶から逃れえない叫びと紡がれる言葉が首輪のように食い込んでくる、自分のパーソナリティ的にきつくなる読書場面も多かったのですが、やはりふとした瞬間思い出し心の糧としたい歌が多く載っており個人的には至高の歌集だと思います、、2023/06/20
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