出版社内容情報
斎藤茂吉記念館館長として茂吉をめぐる人々の情に触れ、
ときに蔵王の樹氷林に向かう。
またある時は、大都会のビル群のはてい沈む日に啓示を受け、
街の灯に憩う。
グランドフィナーレの心境に立つ作者七十代後半の作品群。
十六夜の月中空に光りつつ雪ふりをれば人をしのばす
敗戦国の少年としてかたくなに育ちきいまだに消ゆることなし
街の底泡だつごとく点り来てつづまりに人は夜の灯に憩ふ
上山の茂吉の蛍とぶ道を恋しき光身に沁みあゆむ
佐太郎の生年越えていよいよに独りとぼとぼと遠き道行く
内容説明
斎藤茂吉記念館館長として茂吉をめぐる人々の情に触れ、ときに蔵王の樹氷林に向かう。またある時は、大都会のビル群のはてに沈む日に啓示を受け、街の灯に憩う。グランドフィナーレの心境に立つ作者七十代後半の作品群。第十二歌集。
目次
平成二十六年(年改まる;グランドフィナーレ;斎藤美智子さん逝く ほか)
平成二十七年(辛夷;東京トワイライト;エッセー「初」のつく言葉 ほか)
平成二十八年―街樹洞歌稿附載(百年の生;樹氷;わが半生 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あや
20
平成29年10月刊。秋葉四郎先生の第十二歌集。樹氷を詠んだ作品が美しい。先日明治記念綜合短歌大会の授賞式に出席した時秋葉先生が私の近くの席に座っておられた。尊敬し過ぎて話しかけられなかったが、いつまでもお元気で光線を発しておいた。 かうべ垂れ感謝するのみみづからは七十七歳感慨のなし/炭鉱の監禁労働もマラリアの悲惨をも知るこの島の過去/老いし身に八月が来る佐太郎忌原爆服喪日戦争懺悔日/最上川合流近き寒河江川清き流れの速くなりたり/風の痕とどむる樹氷個々まぶし無数に続く一山まぶし2025/06/17