内容説明
第一歌集『月光の揚力』から十八年、生と死を架橋する第二歌集。
目次
とほき匕首
たれか鞍置く
孔雀島
アネモネ通り
タルコフスキーの村
死ににゆく鳥
この世のほかの涙
花かきなぐる
アネモネ・雨滴
日曜の空吊るす
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感想・レビュー
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rinakko
9
〈こころのかたち雨の葡萄にまされるか否、降りそそぐ 降りそそげ雨〉〈なだるるは歌のみならず昨夜(きぞ)こころなだるるなかにひらくアネモネ〉〈くらがりに卵を守る少女の眼 断つなかれうす紅(べに)の反逆を〉〈抽斗(ひきだし)に海をしまへば生きやすき少年といふもろき巻貝〉〈アネモネ通りつきあたり 猫町の噴水春を濡らして帰せ〉〈つまさきで歩むしづくする夢は できたての渦巻宇宙壊さぬやうに〉〈一本のアネモネあらば希望なる言葉かすかに雨滴のごとし〉〈暗きところをかすかに上(のぼ)りやがて咲くあなたの息がアネモネと言ふ2021/02/16