目次
1(夜明けの色;をさなきもの;羽根 ほか)
2(渉る;青空;夜をゆく者 ほか)
3(雫;栞紐;金の雨 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaizen@名古屋de朝活読書会
33
#横山未来子 #短歌 池の面に一枚の翅うかぶ朝防止をぬぎてわが旅を終ふ 雨上がりのアスファルトに踏みこめられし桜紅葉をわれも踏みたり 雨ののちの星祭りの夜眼下にはほのじろき花照りあひてをり 湖(うみ)に向きてみな立てるとふ観音のかなしみをおもひ本を閉ぢたり 湯の沸ける音つづきをり磨り硝子の窓を過ぐるは大き雪の影 雪の夜を見て眠りしに水音のきらめきやまぬ朝にわがをり 2016/08/13
松本直哉
26
歌集のタイトルの由来となった「巻貝のかたちに我のねむるときあかるき金色の雨となりて来よ」が好き。目に浮かんだのはクリムトの描く眠るダナエのまぶしい太ももだった。ひらがなの多いのが明るい印象。下句の字余りはまるで雨だれのようにきこえて、締めの命令形がどきっとする。旧かなによる、奇をてらわない古典的で生真面目で端正な詠みぶりのなかにときおりこの歌のようにはっとさせるものがある。漢語と和語、漢字とひらがなのバランスが私の好み。寡作で地味な存在だけれど今生きている歌人のなかでは好きな歌人の一人です。2020/12/09
双海(ふたみ)
13
歌誌「心の花」選者。第39回短歌研究新人賞ほか受賞多数。「流れゆく午前のひかり白木蓮のひろき若葉の下より見たり」「旧訳版選び読みたり時を違へひとりびとりに来む死おもひて」「如月の窓辺にねむりしづかなり葉脈のごとく血の通ふ耳」2024/03/07
双海(ふたみ)
5
再読。こころを洗う。2024/12/17
yumicomachi
5
2012年発行の第四歌集。鳥や猫、蝶、かたつむりなどの小動物や花水木、梅、桜、蛍草などの身近な植物への細やかな観察眼と愛情、つつましやかながら前向きな心情描写が印象的。〈掌をひらき芝生に眠るわれのうへ星の速さに鳥は流るる〉〈かの街にて小さき詩集を選びたる日は行きわれに詩集のこりぬ〉2018/02/25