内容説明
約30年前「幽霊戸籍」をテーマに放映されたNHKドラマ『空白の絵本』を、本書では、ヒロシマに生きた少年少女たちの詩や言葉をそのまま引用し、平和への願いを小説として新たに描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
itica(アイコン変えました)
70
広島へ。原爆投下された広島の町へ。亡くなった「おじさん」が生まれた町へ向かった瓜子と娘の空子。独特の文章で分かりにくいところもあったが、一瞬にして大勢の命を奪った原爆の恐ろしさを肌で感じるような描写。そして、表面上は無傷でも時を隔ててから体を蝕む後遺症に、原爆投下の罪の大きさを思った。核兵器の恐ろしさを、人間の愚かさを忘れてはいけない。 2020/09/04
ひらちゃん
62
30年前のNHKドラマを小説にしたものらしい。「幽霊戸籍」とは。広島原爆投下時に起こった現象。亡くなっているのに、誰も届け出る者も無く、戸籍上は生きているとされた人達。広島で母娘の見たもの聞いた事。当事者といえ幼すぎた母の想い。ファインダーを通して見据える娘。独特の語りに難儀しながらも、目を離せない気持ちに縛られる。語り部たちも減るからこその本。2020/09/11
鈴木律
2
原爆孤児の母親と、その母親を育てて後に夫となったおじさんの間に生まれた娘の、自分のルーツを探す広島旅の物語だった。ところどころに被ばくして家族をなくした子どもたちの作文が挟まる。今はすっかりきれいな広島の通りや平和記念公園が目に浮かぶ。2021/08/04