内容説明
仮想と現実を巡る圧倒的言葉の世界。きれいごとを吹き飛ばす圧倒的描写力によって日常世界がめくれあがる。見慣れたはずの外界が何かおかしい。人間の嘘がべろりと浮かび上がる。人間とは何ものか。一見そうは思えないが、本書は脳と文明の虚妄をあばく恐るべき哲学小説である。『季刊文科』連載作、待望の単行本化!
著者等紹介
吉村萬壱[ヨシムラマンイチ]
1961年、愛媛県松山市生まれ、大阪で育つ。京都教育大学卒業後、東京、大阪の高校、支援学校教諭を務める。2001年「クチュクチュバーン」で第92回文學界新人賞を受賞しデビュー。2003年「ハリガネムシ」で第129回芥川賞受賞。2016年「臣女」で第22回島清恋愛文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Tαkαo Sαito
39
前半は出てくる人物を小馬鹿にしながら比較的楽しく読めたのに、中盤から世界観の怒涛の変化と訳もわからない恐怖を感じながら読み終えた。後半は狂気の世界を見せつけられ、自分がそこに取り込まれるような錯覚もあり、疲労感があります。完全に吉村萬壱先生しか書けないスタイル。物語の世界を生々しく恐ろしく破壊しつつも読者に考えさせたい、つきつけたいことが書かれている気配を強く感じさせる狂気作品2023/08/27
りつこ
38
覚悟して読んだけどやはり凄まじかった。静かなタイトルと表紙に騙されちゃいけない。どこまでが現実でどこからが妄想なのか。その境界が曖昧になるように呪文のように「現実」「偽物」の言葉が繰り返される。この狂った世界が恐ろしいが、もしかして私が今生きているのも実はこれとあまり変わりがない世界なのかも、とうすら寒くなる。文明や思考、常識、善意をなんとなく信じて生きているけど、一皮めくればこんなものなのかもしれない?知らない顔をして生きていると言われると、確かに…とうなづいてしまうのがこの本の恐ろしいところ。2020/02/06
sansirou
22
借家に出勤して小説を書く男の妻は壊れていていて、作家の醜い弟はその妻に肉欲を感じ、それぞれの思いが初めの三章に綴られ、またあの感じかな?と思ったら次の章から別な展開になった。何もかもが偽物に感じる世界が中心になり、別の夫婦と娘の家族がこれに加わる。そこからが面白かった。結構最後も強烈でしたね。萬壱健在と言う感じでした。2026/03/24
そふぃあ
20
序盤は『回遊人』の異稿かと思うような始まり。なんか狂ってるな、"信頼できない語り手"かな、と思ってたらSFのような展開になってきた。と思ったら違ったり。 語り手が移り変わっていくのだが、変わるたびに手前の語り手の嘘や虚構が露わになっていく。そしてだんだん意味すら分からなくなっていく。無意味が押し寄せてくるというのは怖くて不気味だった。 人を選ぶ作品(吉村萬壱作品はいつもそう)だけど私は結構好きで、痛みと嫌悪を催す描写に毎回ウッ、、となりながら、なんだかんだで吉村萬壱作品は7冊目。2026/06/13
とももも
14
裏切らない面白さ。 自分が今いる世界は理性で作り上げた偽物なんだな。 本物の世界というのがこの本に書いてあった世界なのかもしれない。 グロいんだけど、読んじゃう。極限の気持ち悪さなんだけど笑っちゃう。この方の言葉は凄い!!!2021/08/30




