内容説明
20世紀の大指揮者クレンペラーの最晩年の姿を通して人間における音楽のもつ意味を浮かびあがらせる好著である。哲学者キェルケゴールのいう美的・倫理的・宗教的領域への深まりをクレンペラーの具体的な演奏を通して明らかにする著者渾身の作。
目次
序章(本書執筆の背景と目的;オットー・クレンペラーと晩年;パリ万国博と日本使節団―中村光夫の戯曲『雲をたがやす男』を巡って;中村光夫と吉田健一)
第1章 オットー・クレンペラー 人と生涯(生涯略歴;人物像概要)
第2章 晩年の創造とその分析(創造の構成―再現と表出の芸術;1967~69年の創造内容;フロベール『ブルターニュ紀行』随行記;「窒息した神秘家」/M・トゥルニエの見解)
第3章 マーラーへのオマージュと創造(マーラーへのオマージュ;マーラー交響曲第2番演奏の意義)
第4章 民族性と宗教性の問題と創造(クレンペラーの民族性と宗教性の問題―内在する神をめぐって;思想的傾向と創造)
第5章 生と死の意識と創造(晩年の活動と遺された言葉;作曲活動にみる晩年の死生観―声楽曲創作の源泉となった詩からの考察;ケルト・ブルターニュからインシオ世界へ―ル・クレジオ作品巡礼)
著者等紹介
中島仁[ナカシマヒトシ]
1964年島根県生まれ。関西学院大学経済学部卒業。島根県庁に25年間勤めたのち、神戸大学大学院国際文化学研究科博士課程前期修了。修士(学術)。現在、クレンペラーに関する文献の翻訳のほか、アメリカ亡命時代、ハンガリー時代におけるクレンペラーの芸術活動を研究している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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Susumu Kobayashi