出版社内容情報
柴田翔[シバタショウ]
内容説明
半世紀の時空を描く、長編570枚!
著者等紹介
柴田翔[シバタショウ]
作家、ドイツ文学研究者。1935(昭和10)年東京生まれ。武蔵高校から東京大学へ進学後、工学部から転じて独文科卒。1960(昭和35)年東京大学大学院独文科修士修了、同大助手となる。1961(昭和36)年「親和力研究」で日本ゲーテ協会ゲーテ賞。翌年より休職し、2年間、西ドイツへ留学。1964(昭和39)年『されどわれらが日々―』で第51回芥川賞。ドイツより帰国後、都立大講師、助教授を経て1966(昭和41)年母校の東京大学へ戻り、助教授、教授、文学部長を歴任。1995(平成7)年退官、名誉教授。共立女子大学教授、2006(平成18)年定年退任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
109
柴田先生の「されどわれらが日々」以来の文芸作品です。ドイツ文学の訳書や評論などは折に触れ読んでいましたが小説は久しぶりです。主人公の目から見た何気ない日常の生活が示されていて事件らしきものはあまりありませんが、一人のサラリーマンの生涯を描写することにより、人生の意味を考えさせてくれる作品であったと感じます。2018/02/12
チェアー
13
生きるということは、他人の記憶になんらかの痕跡や傷を残すことなんだろう。だからこそ、生命は永遠とも言えるし、消えてなくなるものとも言える。人生は一つの縁が別のことにつながり、一つの可能性を消していく。その行為は自らの意志で選んでいるように思っていても、選ばされているようでもあり、偶然のようでもある。きっと、人は「人生」を生きながら人生を問い、わからないうちに死んでいくんだな。2017/08/13
peace land
6
「されどわれらが日々」から53年の月日が経っているそうです。とても良い文章だと思いました。構成の仕方も、凝っているのですが、無理がなく、抵抗感がないのが不思議です。 まさに、宇宙というか、それよりもっと悠久の時空を感じます。ここまで深いと、小さなことはみんな有りだと流れていってしまう。 2017/07/10
ソングライン
6
1935年生まれの作者と同世代の主人公が、南米のある国に旅立つところから始まる半生記です。帰国後、家庭を持ち暮らした街で出会った隣人たちや街並みの変遷は戦後史そのものです。息子の誕生から妻との死別を経験した主人公は、人生を振り返る最後の旅に出かけます。そこで、知る人生の意味に共感できる物語でした。おすすめです。2017/07/09
OHNO Hiroshi
4
死、自分の死、それの前の妻の死、周りの自分が生きている時に接する死、色々考えた。でも、人は新聞の死亡欄をなぜ見るのだろうか、と奥さんと会話した。今まで交際がなかった人の死を確認する意味があるのか。何もせず、噂や頼りでその死が伝われば、縁あって、行動すればいいのでは。人との付き合いを減らすべきかなあ、と思う。2017/09/29