内容説明
現代ドイツ文学の中で独特の光彩を放つ詩人・作家、版画家であるクリストフ・メッケルの、1970年代の作品。
著者等紹介
メッケル,クリストフ[メッケル,クリストフ] [Meckel,Christoph]
1935年ベルリン生まれ。大学でグラフィックを専攻。ライナー・マリア・リルケ賞、ゲオルク・トラークル賞の他、多数受賞
相田かずき[アイダカズキ]
1974年生まれ。奈良県出身(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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春の夕
4
二人の少年が奪われた守護天使を取り戻すために旅をする話。旅の先々で出会う人々やその町の風景は少年の目を通して見るまでもなく異なっていた。いわゆる一種のメルヘンなのだと解説に書かれていた所以であるけれど、私が抱いた感想は少年が捉えた彼らの本質と似ても似つかないものの、行き着く先の答えは同じなのだから、この作品はカタストロフィをつねに中心的な出来事として位置づけている。でなければ第六章、エピローグでのソリィの台詞があまりに痛快なものになってしまう。理想は在り、現実とは一体なんだろうか。2021/07/14
いっぺい
0
ホームレス暮らしの2人の少年が成り行き任せの暮らしをしている中に、突然現れた怪しい男に守護天使を奪ったとか言われ、それが本当かどうかも分からないまま取り返しに行くお話。道中でいろんな人間と出会ったエピソードがある。出会ってはすぐ別れ、みたいな。後半まで特に面白い展開もなくちょっと退屈だが、何にも束縛されない少年たち独特の世界の見方・葛藤は面白い。起こる事件は現実的に淡々と描かれているが実際はぶっとんでる。エピローグは特に良かった。ドイツ語で『山羊の角に追い込む』は『人を騙す』ということわざらしい。2016/02/21