内容説明
だが、民主主義が隘路にある今、頭数を数えるだけで済むなら、政治とはなんと楽な営みであろうか。“多様性の維持”にこそ政治の要諦を見出したイギリスの思想家たち(ウィッグ)の場合は…。
目次
序章 「自由な統治」の政治思想
第1章 「自由な統治」とイギリス国民
第2章 選挙と世論
第3章 政党・議会・内閣
第4章 妥協の政治学
終章 改革とリーダーシップ
著者等紹介
遠山隆淑[トオヤマタカヨシ]
1974年生まれ。立教大学法学部卒業、九州大学大学院法学府博士後期課程単位取得退学。博士(法学)。九州大学大学院法学研究院助手、立教大学法学部助教等を経て、国立熊本高専(八代キャンパス)共通教育科准教授。専門は、西洋政治思想史(政治学史)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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バルジ
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ウィッグとラディカルの民衆観の違いが面白かった。意外だったのはウィッグが動的な国制観を持っていることで、保守主義に近いという点。共に「理性」を重んじつつも結論がまるで異なるのも興味深い。2017/08/19
しろくま12
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リアリズム的な政治観をもつウィッグの考え方に共感。リーダーとフォロワーの役割を峻別。下位労働者階級の参加を否定するなど、デモクラシーの拡大に異を唱えつつ、信従による有権者とのつながりを求める。政治指導者に必要なのは、多様な人々に対する「共感性」である。そのような政治風土のもと、「妥協の政治学」が可能になる。現代の政治について、「他者そのものすら存在しないかのような政治運営の事例に、現代の議会は満ちている」。議論を積み重ねた、暫定的な決定(唯一の真理ではなく)が政治に求められる。2020/05/21