内容説明
体罰、しごき、イジメ…理不尽な指導はなぜなくならないのか?「楽しむ」ことが悪になる部活スポーツに未来はない。その指導、子どものためになっていますか?
目次
第1章 暗闇―高校サッカーの不都合な真実(あるサッカー少年が味わった地獄;大成した選手の陰で多くの犠牲者が出ている ほか)
第2章 葛藤―指導者たちが抱えるジレンマ(スパルタ式の鬼監督が抱えていた葛藤;「部員が辞めないこと」を大切にした滝二 ほか)
第3章 土壌―理不尽な指導がなくならない理由(猛特訓で伝説となったワールドユース日本代表;一世を風靡した「スポ根」が生み出したもの ほか)
第4章 新風―「楽しむ」を悪にしない指導者たち(高校選手権で勝つことだけを目標にしない成立学園;大人数でも練習機会を平等に与える東久留米総合 ほか)
第5章 未来―「育成」のあるべき理想像とは?(高校の実態は明らかに「マネージャーズ・ファースト」;強豪校のブランドにひそむ危険な落とし穴 ほか)
著者等紹介
加部究[カベキワム]
1958年生まれ。立教大学法学部卒業。1986年メキシコワールドカップを取材するために、スポーツニッポン新聞社を3年で退社。以後フリーランスのスポーツライターに転身し、ワールドカップは男女合わせて7度、欧州カップファイナルは10度、各大陸選手権は8度取材(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kimi
7
100年後も変わらない気がしますが、5年くらいで変わって欲しいのが本音です。高校生を指導するのは大変だと思うけど、怪我をさせない、嫌いにさせないということが指導者の原点だと思います。2014/04/28
かなすぎ@ベンチャー企業取締役CTO
6
自分の母校が取材されたのかなと思う記述が多くて、泣きそうになりながら、読んだ。先輩後輩の暴力的上下関係、監督からの理不尽な体罰、罰走。チームメイトの連帯責任による罰。これらで選手権は勝てるかもしれないが、サッカーを好きにする人を増やさないだろうなと思う。本書でも、非科学的な練習を指導する監督、一発勝負のメディアが好きそうな選手権のあり方への疑問を投げかけてる。大阪の興国高校の監督の考えのように、サッカー長く好きでいられるような指導が広まって欲しい。2021/08/01
進☆彡19@雰囲気重視
5
サッカーやってる次男がどうやら高校でも続けるらしいので、参考になるかと思い購読。部活の現状が数々の証言で明らかにされているので、とても参考になった。ただ、書名から想像していたよりも救いがないとは思えなかった。確かに半端ない悲惨さは散見される。しかし、反面希望も感じられた。元選手たちの証言には、わずかながらサッカー愛が感じられたし、独善的で老害としかいいようもない指導者ばかりではないこともわかった。もちろん、希望にあふれた未来を奪われた被害者の方たちのことは、心から残念に思うし憤りを感じる。(続く)2014/04/03
いえろ
4
体育会系に体罰は付き物だと思ってたが、程度がすごかった。 あと、著者のむすこが加部未蘭と初めて知った。2014/03/30
ミズノ
4
丹念な取材によって書かれていることが読んでいるとわかるが、それと同時に著者の「部活動のせいでサッカーが嫌いなる人を増やしてはいけない」危機感というものが伝わってくる。体罰の問題は近年になってようやくメスが入っているが、この本には育成の年代における指導の現状や問題、可能性が盛り込まれているので読んでおいて損は無いと思う。ただ、欲を言えば欧州などの国々で起こっている問題についても触れて欲しかった。(例:アフリカから欧州に連れてこられてストリートチルドレンになる子どもが続出、等)。2014/01/15