出版社内容情報
シリーズ第5巻「渋江抽斎」は鴎外の史伝小説の第一作であり、史伝三部作の一つである。江戸時代の侍医、考証学者であった渋江抽斎とその妻五百や子孫について描いた作品。江戸時代のお金事情や女性が軽んじられていた時代にたくましく生きた妻五百など抽斎の生き様以外の魅力も詰まった作品である。
感想・レビュー
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ネギっ子gen
55
【抽斎の好む所は何かと問えば、読書といわなくてはならない】<古刊本、古抄本を講窮することは抽斎終生の事業であるから、ここに算せない。医書中で『素問』を愛して、身辺を離さなかったこともまた同じ/抽斎の好んで読んだ小説は、赤本、菎蒻本、黄表紙の類であった。想うにその自ら作った『呂后千夫』は黄表紙の体(てい)に倣ったものであっただろう。抽斎がいかに劇を好んだかは、劇神仙の号を襲(つ)いだというを以て、想見することが出来る。父允成(ただしげ)がしばしば戯場に出入したそうであるから、殆ど遺伝といっても好かろう>。⇒2025/05/27
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