出版社内容情報
京都仏教会の経験知を結集して考える国家と宗教の諸問題。巻末座談会に佐藤優氏登場。推薦=田原総一朗氏。京都仏教会の主要メンバーである相国寺は古都税問題や宗教法人問題等に積極
的に関わってきた。その経験知を結集して考える国家と宗教の諸問題。相国寺
で行われた座談会をまとめる。
巻末座談会に佐藤優氏登場。
推薦=田原総一朗氏。
巻頭によせて 臨済宗相国寺派管長 有馬?底
1 宗務課という役所
宗務課専門職員の仕事/予算を取れば名課長
コラム「文化庁宗務課」
2「信教の自由」はいつどこで生まれたか
修道士ルターの回心/「危険な教派」アナバプテスト(再洗礼派)/
国教制もルターの遺産/カルヴァンと日蓮のテオクラシー/自然法思
想の土壌、国家を超えた人権/最澄が潰した戒律の可能性
コラム「アナバプテスト(再洗礼派)の系譜」
3 紆余曲折の神道国教化の道程
祭政一致の詔/挫折した神道国教化/キリスト教は「黙許」すれど公
認せず/仏教禁止の蛮勇はふるえず/天皇崇拝の「大教宣布」/公認
宗教と管長制度
コラム「廃仏毀釈の実際」
4 国家神道体制と「神社非宗教論」
「信教の自由」に困惑する神道/神社非宗教論という机上の論理/紆余
曲折する神社行政/国体の思想と国家神道/タテ社会と神道/生き神と
しての天皇と「国体の本義」
コラム「別格官幣社とは何か」
5 明治仏教史??仏教教団の近代化
社寺上知令と地租改正による打撃/明治憲法より9年早い本願寺法/仏
教各宗派における近代的自治の形成/民衆を巻き込まない宗門改革の弱
さ/宗制と教義のあるべき関係/戦後の宗教法人法の柔軟性
コラム「『大正デモクラシー』と宗門の自治」
6 国家神道体制下の公認宗教・非公認宗教
3度廃案となった宗教法案/超宗教化する国家神道/教義の修正まで強
いた文部官僚 /戦時下に成立した宗教団体法/国の都合で教団を統合
コラム「宗教団体法と宗制編纂」
7 国家神道体制の崩壊と宗教法人法の成立
宗務課廃止論で慌てた文部省 /初めて政教分離を定めた神道指令/今も
引き継がれる国家神道/日本の宗務行政の特殊性/教会が行政権を行使し
たスウェーデン/神社本庁の政治的影響力/宗教法人自由設立は本当に問
題アリか?/「何もしない」のが宗務課の仕事/『宗教年鑑』が示す途方
もない数字の理由/「逆らう気?」と耳打ちした役人/新宗教に改宗した
住職の宗派離脱
コラム「包括・非包括関係と仏教教団」
8 古都税問題?宗教のシンボル性への無理解
古都税問題の本質は何だったのか/自由と規制のバランシング・セオリー
/靖国問題に通じる「儀礼非宗教論」/「対価性」は問題ではない/寺が
特別徴収義務者になるのは憲法違反
コラム「文化観光施設税・文化保護特別税と覚書」
9 宗教法人法「改正」問題
行政が宗教法人をコントロールする方向へ軌道修正/昭和30年代の「邪教」
キャンペーン/オウム事件を契機に強行された「改正」/13人中7人の委
員が「改正」に反対/書類提出問題と非訟事件手続法/裁量で行政が宗教
団体を選別/「お東紛争」の行政裁量
コラム「洗建駒沢大学教授『オウム疑惑と宗教法』」
10 宗教と公益性?横行する新自由主義的解釈
公益認定法の問題/宗教の社会的機能?統合と変革/個人の尊厳も宗教から
/ファシズムへと通底する公益性論/新自由主義と公共論/公益法人制度改
革の意味/コスト&ベネフィットの発想/多元性と公益性
コラム「中国の国家宗教事務局」
11 宗教法人と税金
教会税のある国々/宗教法人非課税の根拠は公益性ではない/税法学の立場
で見ると…/境内地非課税は「特権」に非ず/宗教の目に見えない部分を捨
象した「変な判決」/市場経済の論理を内面化する危険
コラム「宗教法人と固定資産税」
12 宗教者への提言
「信教の自由」の意味/「信教の自由」を「心の中」に限定した戦前の政府/
信仰に関わる三つの自由/「信教の自由」を守るための運動論
注 主要参考・引用文献
附論 「外務省のラスプーチン」が語る宗教と国家??佐藤優氏を囲んで
解題 〈宗教と国家〉を読み解く 龍谷大学教授 田中滋
あとがき 駒澤大学名誉教授 洗建
終わりに 相国寺教化活動委員会委員長 佐分宗順
相国寺教化活動委員会[ショウコクジキョウカカツドウイインカイ]
臨済宗大本山相国寺派総本山の宗務本所に属する機関。
田中 滋[タナカ シゲル]
龍谷大学
社会学部教授
目次
宗務課という役所
「信教の自由」はいつどこで生まれたか
紆余曲折の神道国教化の道程
国家神道体制と「神社非宗教論」
明治仏教史―仏教教団の近代化
国家神道体制下の公認宗教・非公認宗教
国家神道体制の崩壊と宗教法人法の成立
古都税問題―宗教のシンボル性への無理解
宗教法人法「改正」問題
宗教と公益性―横行する新自由主義的解釈
宗教法人と税金
宗教者への提言
附論 「外務省のラスプーチン」が語る宗教と国家―佐藤優氏を囲んで
著者等紹介
田中滋[タナカシゲル]
1951年、兵庫県生まれ。京都大学大学院博士課程満期退学(社会学)。追手門学院大学教授を経て、龍谷大学社会学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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