内容説明
各仏師は技術を磨き、改良を重ね、依頼者である願主のさまざまな要望に応えようとした。一方、願主にはそれぞれ悩み、不安また恐怖などがある。そこから救われたいとの切実な願いがある。仏師は、ただ単に決められた図像通りに仏像を造るのではなく、そこに願主の期待に応じるべく、秘かに願主の意を汲み、ともに恐怖に立ち向かいながら、願主を力づけ、なぐさめ、救うためのさまざまな仕掛けを隠し置いたのだ。本書では、その秘技、秘策を、各仏像の中から探り出し、仏師の意図を読み解いてみたい。
目次
1 造形の秘密(右手の指三本、その爪が語る止利仏師の惑い―飛鳥寺釈迦如来坐像(飛鳥大仏)
飛鳥仏の源流―中国化した異国の仏
台座に仕掛けた「往登浄土」の構想―法隆寺釈迦三尊像
放電する天衣 先端に忍ばせた刃物の形―法隆寺夢殿救世観音立像
伸び上がる若竹のイメージ 衣文でさらなる上昇性―法隆寺百済観音立像 ほか)
2 技法の秘密(塑像の中で造形を支える心木―新薬師寺十二神将立像と戒壇院四天王立像;麻生の像とそれを支える特殊な心木―興福寺十大弟子立像に見る脱活乾漆の技法;脱活乾漆の新たな試み 原型封入の土心乾漆像の可能性―秋篠寺伎芸天立像;一木造りと寄木造りの境界 越えがたいその一線―同聚院不動明王坐像;像内に篭めた生命の根源 太子のしるし―広隆寺聖徳太子立像 ほか)
著者等紹介
山崎隆之[ヤマザキタカユキ]
1942年、東京都生まれ。東京芸術大学大学院美術研究科修士課程(保存修復技術専攻)修了。東京芸術大学美術学部付属古美術研究施設勤務を経て、愛知県立芸術大学名誉教授。奈良大学、京都造形芸術大学非常勤講師。専門は日本彫刻技法史。保存修復技術(仏像)。文化財保存修復学会(諮問委員)、日本文化財科学会、美術史学会に所属(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
わらわら
ukikusa
Shoji
とーあ