内容説明
一級史料が教える桶狭間の真相。著者が日本で初めて「正面攻撃説」を提唱してから26年。信長の戦術が迂回奇襲でなかったということは、現在ではほぼ定説になっている。しかしこの間、「乱取状態急襲説」をはじめとする数々の新説が登場し、話題になっている。本書では、一級史料の『信長公記』を読み解き、信長が勝利を得るにいたる経緯を改めて論証する。『信長公記』を素直に読めば、正面攻撃で義元を破ったのは明らかなのだ。
目次
第1部 桶狭間の死闘は正面攻撃だった!(『信長公記』が伝える戦いの実相;信長・義元の戦いを総括する)
第2部 戦国合戦の「定説」を疑う(戦国大名の戦いのパターン;今川義元は天下を目指したのか? ほか)
第3部 桶狭間をめぐる「新説」の登場(『甲陽軍鑑』を典拠とした「乱取状態急襲説」;織田軍別働隊による「迂回奇襲説」 ほか)
第4部 「迂回奇襲神話」の誕生と参謀本部(誤った「教訓」を生み出した『日本戦史・桶狭間役』)
著者等紹介
藤本正行[フジモトマサユキ]
1948年東京都生まれ。慶応義塾大学文学部史学科卒業。現在、國學院大學兼任講師。日本軍事史・風俗史専攻。文献・絵画・城郭・甲冑武具研究を集合した独自の歴史研究を展開している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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リードシクティス
4
奇襲攻撃を持って寡兵で大軍を破ったとされる桶狭間の戦いについて、「信長公記」を素直に読み解くことで、桶狭間での信長の勝利は奇襲によるものではなく、正面からの攻撃によるものだったと述べた本。奇襲はなかった、というのはまあいいとして、ではなぜ寡兵で大軍を正面から打ち破れたのかということについては、「戦なんてセオリー通りにいかないものなんだからそういうこともあるだろう」ということに留まっている。まあ、真実なんて案外劇的なことなんてないだろうという気はするが、面白みには乏しい。2013/01/29
とよちゃん
0
テレビは面白ければいいので、本当の歴史を伝えることはないですよね。朝日新聞でさえあんなんだし。歴史家の人達も、さも自分たちが見てきたかのような言い方をするので、何が真実かわからないことだらけです。著者が主張する「正面突破」の話はある意味合理的なので、納得できますが、終始その他の主張を否定し続ける内容は、ちょっとしつこいですね。2014/12/13
アーネンエルベ
0
今までは史料としての価値の低い『甫庵信長記』が圧倒的に普及していたために、「桶狭間の戦い」は雨の中を迂回しての奇襲攻撃説が広く世間に知られていたけれど、より信頼性の高い太田牛一の『信長公記』を読むと晴れてからの正面攻撃という真逆のことが書いてあるという本。梁田某が今川義元の位置情報を知らせたために褒美を与えた、今川軍は油断していた、死体剥ぎをしていた、などの説も全て『信長公記』を引いて否定している。つまり筆者によると今川軍は通説よりも強かったことになるのだが、どうしてこれに勝てたのか。2014/01/14
jdrtn640
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史料によらない妄想は論外としても、どの史料が信用できるかは素人にはジャッジ不能な面もある気がする。筆者が「信長公記原理主義者」に見えた方には『信長の戦争』(特に序章)を読まれることをお勧めします。『桶狭間の戦い』(歴史新書y)はこの本の新装版みたいです。2011/04/08
ぐちーず
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筆者の正面攻撃論と諸説の対比を読むために他の桶狭間合戦の本を読みたくなりますね。2010/05/14