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不安型ナショナリズムの時代―日韓中のネット世代が憎みあう本当の理由

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  • サイズ 文庫判/ページ数 255p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784862480194
  • NDC分類 367.6
  • Cコード C0236

内容説明

ネット世代の日韓中の対立関係は、いまや千年一日の紋切り型のナショナリズム論では捉えきれない事態に直面している。「反日感情の増幅」や「若者の右傾化」を憂えたり、批判したりすることよりもいま問題にすべきは、各国における「社会流動化」の進行が「不安」を増幅させ、ナショナリズムがその逃げ場となっている事態だ。旧来の「左右対立」とはまったく異なる形で進行するベクトルを掴むには、雇用不安や階層分化といった国内問題と結びつけて分析されるべきだ。若年層問題がその最大の争点になるだろう。若き社会学者がグローバル資本主義下の三国に共通する課題を浮かび上がらせる。

目次

序章 高度成長の再検討とナショナリズムの結びつき
第1章 日本的脱工業化と世代間対立の浮上―日本1
第2章 趣味化したナショナリズムと目標の喪失感―日本2
第3章 ポスト民主化の若者たちのゆくえ―韓国
第4章 社会主義から過剰流動社会へ―中国
結び 社会流動化の中の東アジア・ナショナリズム

著者等紹介

高原基彰[タカハラモトアキ]
1976年神奈川県生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程在籍中。日韓中の開発体制の変容にともなう社会変動を研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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kozawa

3
タイトルが煽り気味の割に、記事の大半は日韓中の社会構造の変化と若者の置かれた状況等。「ナショナリズムの発露」的なものを一様に捉えるのではなく、その複雑なものの発露の一部だと位置づける。データ裏付けに乏しいし同意しかねる点もあるが、私の知る現在の政治状況に近い所もあり、こういう視点の指摘自体は支持する。氾濫する駄本の著者よりはよほどちゃんと三国の現状を研究している。2009/07/11

たろーたん

2
無理やり要約。ナショナリズムには二つあり、政府主導の開発経済が上手くいっている時に自国はすごいとなる開発型ナショナリズムと、社会が流動的になり失業などが問題となる中で移民などを攻撃する不安型ナショナリズムである。日本の場合、日本型雇用の会社主義がどの国よりも上手くいき、今でも「日本はすごい」という開発型ナショナリズムの残滓が残っている。ただ、日本も流動化の波にのまれ、日本型雇用のレールに乗れない若者もいる。そんな若者たちが陥るのが不安型ナショナリズムである。(続)2023/07/10

かみかみ

2
評価:★★★★ 高度経済成長の分け前に与った層とそうでない層の間の分断、進歩的文化人の過剰なアジアへの贖罪意識批判が「大東亜戦争」肯定論につながったこと、現代の高度消費社会ではナショナリズムが趣味化する、といった主張が興味深い。2014/07/11

poUoq

1
既にさんざん効果が否定されている産業政策を評価してしまっている。デフレ下での構造改革がどういった性格のものになるのか、実際どのように進められたのかを考慮していないことも問題。経済を中心に論じようとしているのに、経済学の知識の不足が目立った。 しかし、日本・韓国・中国の政治レジームの変遷については簡潔によくまとまっている。2011/04/08

抹茶ケーキ

0
日韓中どの国においても社会の流動化が進展するにつれ、それについていけなくなった人が生まれ、その人たちが抱える不安によって「国家」というフィクションが求められている。これが現代のナショナリズムの一因になっている。みたいな話。確かにそういう面もあるだろうなと思う。2019/07/28

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