内容説明
シングルマザーの女タクシードライバー、柿谷リカ。リカのタクシーには大都会に生きる様々な屈託を抱えた人々の人生が交差する。『タクシー狂騒曲』『血と骨』の梁石日と気鋭の純文学作家中上紀のコラボレーションによって紡がれる愛と勇気の物語。
著者等紹介
梁石日[ヤンソギル]
1936年、大阪市猪飼野で済州島から渡日した在日朝鮮人の子として生まれる。印刷会社経営に失敗した後、タクシードライバーをはじめとして様々な職業に就くが、1981年タクシーでの体験をもとに執筆した『タクシー狂騒曲』でデビュー。1998年、実父をモデルとして執筆した『血と骨』が第11回山本周五郎賞を受賞、直木賞候補にもなり、作家としての評価を確立する
中上紀[ナカガミノリ]
1971年、東京都国分寺市に芥川賞作家中上健次の長女として生まれる。高校、大学はカリフォルニア、ハワイで過ごすが、ハワイ大学卒業後アジア各地を歴訪し強い影響を受ける。1999年、『イラワジの赤い花 ミャンマーの旅』(集英社)でデビュー。2000年『彼女のプレンカ』で、すばる文学賞受賞。以後、純文学作品、紀行文を次々と発表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ででんでん
76
「軽蔑」などが好きだった中上健次さんの娘さんの本なんだ。初めて読んだ。梁さんは、何冊か読んだことがあるけれど。皆さん書いておられる通り、どのあたりがコラボなのかがわからない。ただ、私はとても好きだった。様々な人間模様のひとときを切り取って運ぶ都会のタクシードライバー。「轢き殺すぞコラ‼」と心で啖呵を切りながらも、働き続ける姿が魅力的だった。最後、身辺の変化により、仕事の方向を切り換えて…自分でしっかりと人生を切り開いているリカにエールを送りたい。宇野亜喜良さんの装画が合ってるなあ。2020/02/25
シャコタンブルー
31
都心のタクシー・ドライバーは大変だと思う。知らない地域、次々と新しくなる名所、酔っ払い、犯罪等、常に緊張感を持ち危険と隣り合わせの職業でもあると思う。まして女性ドライバーともなるとレイプ・暴言・暴力も・・深夜に墓地に行く若い女性客、息子夫婦の元に行く余命半年の老女、有名な宝くじ売り場で300万円を使う客等、それぞれの客の葛藤や思惑が描かれ興味深い。シングルマザーのタクシードライバーのリカの生き様が刹那的で危ういが、彼女の小気味良い啖呵に胸がすく思いがした。「轢き殺すぞコラ!?」熊野でも言ってるかな(笑)2019/06/29
aloha0307
26
今日は税務署から直帰で☺ シングルマザーの女タクシードライバー:リカ。大都会に生きる様々な屈託を抱えた人々が乗車してくる...運転手に対しては、何ゆえ胸襟開いて深刻な悩み含めなんでも打ち明けてしまうのだろう...女性ドライバーだからって、傲慢&失礼な態度の奴ら(誘ってくる奴らも...) 許せんな💢 あれは2000年頃か六本木で乗車だったかな?...表紙カバーのような、素敵なタクシーガールがいましたよ☺2019/07/22
keith
23
タクシーの運転手をしているシングルマザーのリカ。いろんな客を乗せ今日も走ってます。タクシーの中では人はなぜあんなに自分のことを語ってしまうのでしょうか。梁石日さんと中上紀さんとのコラボとのことでしたが、どことどこがコラボしてるのか、イマイチよく分からなかった。2019/06/25
日の丸タック
21
不特定多数が、移動目的のために短時間すれ違う。 そこに、その人の本音や愚痴…被っていた仮面を遠慮なく外す姿や人間模様が交錯する。 世の中のトラブルは、金と異性と僻み… 様々な形はあれど行き付く先は大差ない。 人間模様のルツボ、都会深夜のタクシーの中! 想像以上のものを背負って人は生きている!2019/09/02