出版社内容情報
「めめしさ」の排除が、帝国日本を終焉へと向かわせた──
鈴木邦男氏(元一水会顧問・評論家)推薦! ──「我が意を得たりで、一気に読みました」
「長い間、愛国運動をやってきたつもりだ。でも知らなかった。僕達の『愛し方』が間違っていたのだ。
『雄々しさ』だけを追い求め、『めめしさ』なんか忘れていた。でも昔はあったのだ。
弱者へのいたわり、自分と自国への謙虚な反省。それがなかったら、『愛』ではない。
もっと早く教えてほしかった! 」
軍歌『戦友』の封印や、「捕虜になるなら切腹」など、昭和十年以降の日本は
「めめしさ」を排除し、「雄々しさ」一辺倒に舵を切ってきた
しかし、明治以降の日本において、両者は両輪の関係としてバランスを保ち続けてきたはずのものだった。
「反国家的」「軟弱」なものとして排除されながらも、生き残り続けてきた「めめしさ」の軌跡を追う。
・日露戦争へ向かう息子の行進に付き添い4キロの道を歩いた老母の「一太郎やあい」
・徳富蘆花の『不如帰』の大ヒット
・男女の別れのつらさを歌う『カチュウシャの歌』の流行
・事故の責任をとり、自らも鉄道自殺をして詫びた二人の踏切番
・強盗殺人の被害者となった妻の後を追って自害したドイツ人将校
・酷使されるアメリカ人捕虜を見て「お可哀想に」と言った夫人
清永 孝[キヨナガ タカシ]
清永 孝 (きよなが・たかし)
1929年熊本県生まれ。52年九州大学法学部卒業。
57年九州朝日放送入社、番組制作に携わる。89年退職、日本近代史の研究を開始する。
著書『裁かれる大正の女たち』(中公新書)、『良妻賢母の誕生』(ちくま新書)
目次
第1章 「お国のためとは言いながら…」―明治時代の「雄々しさ」たち(憧れの虚報;軍刀とハンカチ ほか)
第2章 「必ずしも遠き後とは…」―男と女の大正時代(心ならずも「別れの辛さ」;妻逝けば… ほか)
第3章 大和魂と澤庵漬―「偉大な精神力」と「さまざまな差別」(居眠り賛歌;古事記・憲法・亡国論 ほか)
第4章 雉が鳴いた!―昭和不況の「愛と死」(大審院の堕落;殉死と恋愛 ほか)
第5章 「お可哀そうに」―『戦友』の封印と帝国の終焉(「女がなっとらん!」;仇花の歌声 ほか)
著者等紹介
清永孝[キヨナガタカシ]
1929年熊本県生まれ。52年九州大学法学部卒業。57年九州朝日放送入社、番組制作に携わる。89年退職、日本近代史の研究を開始する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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