内容説明
FM放送の電波観測により、地震前兆と電波伝播異常の関係をついに捕まえることに成功した。前兆現象とはなにかを観測から発見し、経験則をつくりだし、逆に前兆現象から地震予報を行う。そして北海道での地震発生を震度、時間を限定して的中させてきた。観測網さえ整備すれば、この方法で首都圏の大地震の予報も可能になるはずだと著者は主張する。「地震の直前予知を大学の研究者が本気で行うことは、レベルの低い研究者と見られる覚悟が必要であった」と述懐する。硬直した地震学界の鈍い反応のなか、孤高の地震学者のこれまでの試行錯誤と注目すべき成果を報告する。
目次
第1章 地震とはどのような現象か(地震の前・同時・後に起こる現象;地殻変動とそれに付随する現象―海面変動、地下水の異常 ほか)
第2章 電波伝播異常と地震(1995年兵庫県南部地震が社会も地震学も変えた;どのようにしてFM放送の電波で地震予報ができるのか ほか)
第3章 北海道大学地震火山研究観測センターの挑戦(観測の動機;2003年9月に起きた二つの地震 ほか)
第4章 他の電磁気的方法による地震前兆の研究(ギリシャのVAN法;日本におけるVAN法 ほか)
第5章 VHF観測の評価と将来の展望(学会での評価;地震予知計画研究の発展と大学の研究 ほか)
著者等紹介
森谷武男[モリヤタケオ]
1942年札幌市に生まれる。1965年北海道大学卒業、1971年北海道大学助手、1976年理学博士、1985年北海道大学助教授、2006年北海道大学大学院理学院付属地震火山研究観測センター研究員、2008年同研究支援推進員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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