内容説明
劣等生の烙印を押され傷ついた心、星空を眺めて見た夢、数学開眼。日本の受験システムへの反発、数学専攻への不安と数学への情熱。禁断の恋、失恋。さらに14回連続大学院入試不合格。執念を燃やし、ついに夢にみた大学院合格。しかしそこは別世界だった。
目次
第1部 夢を追った少年(少年時代;暗黒時代;高校時代)
第2部 数学への情熱(大学生;大学院希望;一九七三年;別れの曲)
第3部 大学院への執念(奈落の底;再起;フラストレーション;十四連敗;執念)
第4部 SAPPORO(別世界;右往左往;激怒)
著者等紹介
奥山京[オクヤマタカシ]
1951年三重県に生まれる。1966年私立高田中学校卒業。1969年三重県立津商業高等学校卒業。1974年三重大学教育学部小学校教員養成課程卒業。1980年北海道大学大学院理学研究科数学専攻修士課程修了。埼玉県立狭山工業高等学校教諭。1985年鳥羽商船高等専門学校講師。1989年鳥羽商船高等専門学校助教授。1991年理学博士学位取得(於:北海道大学)。2004年大分大学教授(工学部知能情報システム工学科)。2007年山形大学教授(理学部数理科学科)。2012年山形大学退職。専門分野、無限可換群論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しろくまZ
3
商業高校出身ながら数学者をこころざし、何と14回連続大学院不合格にもめげず、北大の院に進学し、その後紆余曲折を経て別の大学教授になった方の自叙伝。とにかく長いし、細々したことも詳細に書いてあり、失礼ながら興味のある部分だけ拾読みした。最も印象的だったのは北大での博士課程進学時に起こったアカデミック・ハラスメントである。これより酷い例が某K大学の数学教室であったとの記述を読んだことがあるし、個人的も、工学系の研究室でもこのようなハラスメントは良く見聞きした。この種のアカハラには嫌悪感以外は抱けない。2013/03/16
kage89ricken
1
363ページの中に文字がぎっしり詰まっており、著者が書き残したい事を好きなだけ書いたという印象だ。1巻では幼少期から27歳頃までの人生が、よくここまで書けたなと思う程に細かく書かれており、指導教官によるアカハラで修士課程1留が確定するところで終わる。共感できることが多く、面白くて一気に読めた。書かれている数学科の大学院生活は今から30年以上前の話だが、現在とも然程変わらないし、残念ながら、似たようなアカハラは普通に行われている。普通なら諦めるであろう状況でも、執念深く挑戦する人生はとても魅力的だ。2016/08/18
studyingtopology
1
自称「劣等生」でありながら、商業高校から大学の教育学部数学科へ進む。それだけでも数学者への道としては不利な条件だが、15度目の挑戦で大学院進学を果たし、群論研究者として数学者への道へ進んだ。少年時代からの詳細な自伝であるが、一部小説仕立ての箇所もあり、著者の文学的才能も大いに感じさせる力作だと思う。アカデミック・ハラスメントを受けた著者には共感しながら読み終えた。勢いで第二巻も読んだ。第二巻は高専の教員になるところで終わるが、大学教授になった現在までを描く続編を期待している。2015/02/06
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