内容説明
敗戦の夜、絶望のため切腹まで考えたかつての軍国少年は、どう脱皮したのか?森鴎外記念北九州市自分史文学賞入賞候補作品。
目次
第1章 軍国少年“Fe(鉄)”(焼夷弾であわや;東京大空襲;『紀元二千六百年』から開戦へ ほか)
第2章 戦後を生きる(飢えとの闘い;栄養失調、交通地獄、シラミ、インフレ;進駐軍 ほか)
第3章 軍国少年からの脱皮(寮生活に新天地;様々なアルバイト;「三鷹事件」にぶつかる)
著者等紹介
堀越作治[ホリコシサクジ]
1930年生まれ。一橋大学経済学部卒。朝日新聞入社。政治部次長、福岡総局長、東京本社電波報道部長、編集局次長、研修所長を歴任。(財)森林文化協会常務理事、同顧問等(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アキ
5
新聞社政治部だった筆者の日記をもとにした自伝的小説。戦中・戦後を経て「かつての軍国少年は、180度転換した」とする物語。飢えなどの辛苦は戦後の方が増したように感じとれる。“Fe”は「鉄」を表す元素記号で、頑固な軍国少年だったことから付けられたあだ名。それでも当時はそれが一般的だったのか、180度転換後に自らを省みたせいなのか、極端なエピソードや言動は見受けられなかった。GHQ占領政策での“反共”の影が濃い「三鷹事件」との遭遇や大学寮委員長としての政治活動の顛末で幕を閉じるあたりで、筆者の経歴に思い当たる。2014/08/09