感想・レビュー
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イツシノコヲリ
3
おそらく現時点における円仁に関する最新の論文集だと思う。三分の二は入唐求法巡礼行記の論考が占める。長安は円仁がいた9世紀には坊制が崩れ、勝手に門が作られていたというのは驚いた。円仁が長期にわたり唐に滞在できた理由として新羅人ネットワークの影響の大きさについても改めて学ぶことができた。同時代に渡唐した恵萼が帰国した明州船は会昌の廃仏によって江南に新たに出来た新羅人と唐商とのネットワークがあったという。逆に円仁は華北の新羅人に依存したため、その明州船に乗り遅れたという指摘が興味深い。2025/01/10