感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きつね
8
著者は古典レトリックの教科書を改訂するにあたり、加藤咄道の著作に出会い、日本にも独自に改鋳された「雄弁学」と称すべき流れがあった事を知る。本書はそうした古典レトリックの解説部分と、あらたに加えられた「日本雄弁学」の歴史的研究からなる。この咄道なる人物、宗教家であり、心理学や修辞学に造詣が深く、幅広い著作をものしている魅力的な人物である。とくに「雄弁学」を心理学と結合させ、「聴衆心理」の操作に注目した点に咄道の先見性があり、聴衆を説得し「群衆」と化すメカニズムを説明できなかった点に咄道の限界があるとされる。2015/03/10