内容説明
『ユリシーズ』を読むことはできない、できるのは再読することだけだ。出版以来100年にわたり読み続けられてきた『ユリシーズ』。その再読は終わらない。これからの100年再読を続けていくための確かな礎をここに築く。最新研究を踏まえた7つの精選された論考と27のコラム。
目次
序にかえて―『ユリシーズ』とアイルランド自由国の誕生
ジョイス『ユリシーズ』―各挿話のあらすじと解釈のポイント
第1章 手紙を読む/読まないブルームを読む―『ユリシーズ』の手引きとしての手紙
第2章 階級の授業―『ユリシーズ』第二挿話における植民地教育と社会的分断
第3章 第四挿話と腎臓を食らう男
第4章 『ユリシーズ』と動物の痛み―レオポルド・ブルームの優しさについて
第5章 「セイレン」・喫煙・誘惑
第6章 泥、肉、糞―戦時小説としての『ユリシーズ』
第7章 パラドクシスト・スティーヴンのシェイクスピア論―重力、今、可能態の詩学
附編 『ユリシーズ』を読むための二十七項
フォト・エッセイ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
燃えつきた棒
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読書メーターのケイさんに教えてもらった「22 Ulyssesージェイムズ・ジョイス『ユリシーズ』への招待」のイベントは、とても刺激的だ。 この祝祭感あふれるイベントが22回も無料で楽しめるなんて、全く夢のようだ。 なかでも、第4回の「第3挿話―知覚と実在、波の言葉、万物の変身」では、南谷先生の精緻な分析に瞠目させられた。 その興奮をもう一度味わいたくて、本書を手に取った。/2022/04/13
水紗枝荒葉
0
『ユリシーズ』出版100年を記念した論集。読書中ないし読後の副読本としてお勧め。冒頭にある「各挿話のあらすじと解釈のポイント」が再読時に役立つ。特に「解釈のポイント」は良い思考のヒントになってくれる。2024/06/08