内容説明
炭鉱跡が“異空間”を現出。絶海の孤島・池島は、九州最後の炭鉱。“海底の大工場”といわれた海底坑道(一部)から、石炭の生産システム、そして林立する住宅棟まで、炭鉱社会の全てが国内で唯一遺っている…廃墟化する海上都市の全貌。
目次
01 池島絶景
02 池島概説
03 地底の門―坑口
04 海底の大工場―坑道・採炭・運搬
05 石炭ができるまで―選炭施設の全貌
06 鉄の要塞―さまざまな坑外施設
07 炭鉱住宅探訪
08 炭鉱島の生活
09 池島の過去と未来
10 池島炭鉱体験見学ツアー
11 池島へ行こう!
著者等紹介
黒沢永紀[クロサワヒサキ]
東京生まれ。音楽家。著述家。軍艦島伝道師。オープロジェクトメンバー。長崎伝習所塾塾長。21世紀の初頭に訪れた軍艦島に感銘を受け、以来、軍艦島をはじめとした、国内の歴史的“感考”地をテーマに、多数の著書や映像作品(オープロジェクト制作)を発表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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aloha0307
17
図書館の新刊コーナーで見つけた。副題に離島とあったので、沖縄 宮古島の北にある池間島と勘違い~butとても良い読書だった^-^ 石炭鉱が全盛であった昭和40年代には人口8000人(人口密度は東京以上だったそう)が廃坑となった今や150人 錆だらけの巨大施設が稼働もせずそのままになっているのはホント哀しいね。地域の基幹産業が無くなってしまったら(原子力発電だってもちろんそう)...この池島だけの問題ではないですね。2017/12/25
Toshi
15
何年か前に偶然書店で見つけ、自分の名前と同じ島があることを知った。九州の炭鉱遺構としては軍艦島が有名だが、池島は最も遅く採炭が始まり2001年まで稼働していた最先端の炭鉱だった。これはその炭鉱島廃坑後、ほぼ現在の姿を捉えたフォトルポルタージュである。軍艦島と異なり、島には今でも150名程の人々が暮らし、ツアーで炭鉱の中を見学することもできる。本書の発行が2017年、ようやく先日この島を訪れることができたが、使われていない施設は更に劣化が進んでいるように見えた。2024/08/08
あかね
1
現在進行形で失われつつある炭鉱島の風景。数年前に訪れたがその後無くなってしまったものも多い。変わりゆく様を多くの写真で紹介して、また解説も詳細でわかりやすい。軍艦島には炭鉱施設があまり残っていないので炭鉱での暮らしを理解するには池島を訪れた方がいいと言われた著者なので、炭鉱施設の写真と解説は丁寧。蟇島のことまで書いてあり参考になった。炭鉱の町は3,40代の方が子供の頃過ごしていたことからそれほど昔のことではないと言えるが恐ろしい早さで過去にされていると思う。2021/04/30
つゆ
1
かつて炭鉱の島として繁栄した長崎県の池島は、現在の東京都23区よりも高い人口密度だったそう。 2001年に40年続いた炭鉱も時代の流れに伴い閉鉱。その後は海外からの炭鉱技術者の訓練施設として利用され、現在は観光スポットとして一部解放している。 緑と海が溢れる島の中に、錆びた大々的な規模の設備が未だ鎮座しているのは不思議な雰囲気。廃墟というほど年月がたっているわけでもなく、軍艦島のように無人島ではないから、人の気配も感じる。まだ少し生々しいというか、どこか過疎地帯の田舎に紛れ込んでしまったかな?という印象。2020/08/30
ぞだぐぁ
1
廃墟本でよく見る炭鉱跡は大抵戦前から稼動しているが、戦後に開いて炭鉱街にまだ人が住んでいるパターンは初めて聞いた。ただの風景本ではなく研究者による本で結構良かった。2018/07/11