内容説明
一首一首から、そして一冊からは、確かにある作者像が顕れる。しかしその作者(「主体」と言い換えてもいいかもしれない)は、どことなく掴みようがなく、読み込めば読み込むほどに、主体はするりと読者の手をすり抜けていってしまう。そして、そこが限りなく面白い。ライトヴァース、ニューウェーヴをくぐった先の、ひとつの「私」の有り様が、何食わぬ顔で一冊に収まっている。
著者等紹介
秋月祐一[アキズキユウイチ]
1969年、神奈川県生まれ。歌人・俳人。短歌は「未来短歌会」、俳句は元「船団の会」会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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qoop
6
写真の上に絵を重ねる如く実景に巧く想像を継いで地上から微妙に浮いた景色と情感を詠んだ歌の数々。フィクショナルに過ぎないのは、表現として日常からの遊離感をもたらす(と感じられる)旧仮名遣い。くさびのように歌を繋ぎ止めている印象。面白い。/廃墟・廃港・廃線・廃市・廃病院・廃家・廃井 あぢさゐのはな/透明な生き物図鑑をながめつつ何度「負けた」とおもつたことか/このまちの暗渠たどつて地図帳を赤く塗つてるやうな人です/節足動物甲殻亜門等脚目大王具足虫の沈黙/あなたにははづかしいとこ見られても構はないんだ春のおもらし2021/02/14
haji
1
懐かしい感じもあり新鮮な感じもする、穏やかな言葉選びと配置の妙。くどくない程度に物語を感じるのも良い。好きな歌は色々あるけど表題がやっぱり一番良い。2024/04/25
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