感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaizen@名古屋de朝活読書会
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#池田はるみ #短歌 #現代女性歌人展 若き男(を)は「いややいやや」と積まれけむ補陀落渡海の小さな舟に 土に降る雨を見てをり黒々と打たるる土はなつかしきかな この烏賊の一生といへばをかしかれど海中をゆくはたのしかりにき もうなにも見えず匂はず海原にきえてしまへどしまひにあらず 飛ぶやうに波切りながらゆきたるは安芸の宮島清盛が好き 傘さしてわたりゆくなる百万遍ぬかしのあなたがやや膨らんで2016/07/12
qoop
4
歳を重ねて身に降りかかる事ごとに対する感情の揺れが弱くなったという著者の詠む歌には、諦念と軽みとが入り混じって感じられる。著者の言とは反対に一種の力強さを覚えた。現代に於いてもののあはれとはこういうことか、と。/大阪が肩をつかんでわたくしに言はす方言どうにもならぬ/原発の虚(うろ)の中にぞ智恵を入れまた智恵を入れびしよびしよとせり/聖路加は子を産みしところ義妹を亡くししところ日本の医に/お砂場にかがんでゐるは猫なのか幼子なのか今宵わからず/仏壇を車に乗せて帰りたりわれの預かる位牌九柱(くはしら)2019/12/31