出版社内容情報
【 現代の落語家が創った物語の世界へようこそ! 】
現代の世相をひとつの物語に切り取り、意表をつくようなギャグをまぶし、
何度も高座にかけながら完成作へと練りあげていく新作落語。
古典落語とはまたちがう味わいの「今」があり「ドラマ」があり、
そしてなにより「笑い」がある。
現代を生きる新作落語家たちが紡いだ極上のエンターテインメント!
2011年に選んだ、いま、最もおもしろい噺、11席。
春風亭昇太『オヤジの王国』
三遊亭白鳥『河童の手』
立川談笑『薄型テレビ算』
林家彦いち『みんな知ってる』
三遊亭丈二『公家でおじゃる』
春風亭百栄『マザコン調べ』
三遊亭圓丈『肥辰一代記』
立川志らく『妾馬 ダイ・ハード』
桂あやめ『義理ギリコミュニケーション』
柳家喬太郎『白日の約束』
【特別寄稿】桂米朝『一文笛』
(掲載順)
内容説明
現代の落語家が創った物語の世界へようこそ。妻、娘に冷遇される父親の悲哀を描いた春風亭昇太の『オヤジの王国』。新作落語の闘将、三遊亭圓丈の『肥辰一代記』。古典落語の『壷算』を現代の秋葉原を舞台に改作した立川談笑の『薄型テレビ算』。江戸を舞台に、奔放な想像力が弾ける、三遊亭白鳥の『河童の手』。ホワイトデーを巡るカップルのドタバタが楽しい柳家喬太郎の『白日の約束』。東京の落語家たちもこぞって演じる名作、桂米朝『一文笛』を特別掲載。全11席収録。
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落語の愉しみ本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kiyoboo
10
新作落語11席。昇太の世界は、活字でも生きていた。押入れの戸を開けるとおじさんが体育座りをしていて、奥に案内されてさらに進むと門があり、畳敷きでそこは寝たばこOK。ビールを飲みながら好きな野球チームの応援ができるオヤジの王国だった。映画好きな志らくは、シネマ落語「妾馬ダイ・ハード」設定も面白いし、ありえないと思いながら笑ってしまう。やはり勢いのある人が創る新作落語は面白かった。2012/08/17
gtn
8
桂あやめも、ここに至るまで紆余曲折があっただろう。女流に違和感がある古典を捨て、昼ドラのような新作にたどり着く。自作は自転車操業なので大変なのは分かるが、今後も身辺をネタに高座に上げてほしい。2018/11/18
安瀬内喬
4
新作は当人のキャラに依拠する部分が多いのかな。文字化に耐えられているのは少なかった。2013/07/02
qoop
4
しかし文章だと、それぞれの特徴がハッキリ分かるなぁ。細かいギャグを詰め込むタイプ、会話の流れで笑いを誘うタイプ、奇抜な設定で笑わせるタイプ、それらの複合タイプ、などという具合に。聴いたことのない噺でも、脳内では演者の声で再生されるのだが、読み返す際は、作者以外の演者の声で脳内再生してみたい。2011/12/13
6だ
3
特別寄稿の米朝のレベルが段違いなのは仕方ない(あれは最早古典になりかけてる新作)としても、圓丈(無駄に下品・うんこネタ好きな幼児とか子供なら受けるかも)と志らく(無駄に詰め込みすぎ、四分の一位に削れれば好きになれるかもしれない、それが出来ないからこその志らくとも思うけど)以外も普通に面白く読めた新作落語の傑作集。ただ、談笑・百栄・あやめは活字の方が良いかも、とも思った。高座でも(或いは高座の方がさらに)面白い昇太や喬太郎はそれだけ落語家として洗練・完成されているのだな、とも。2012/05/14