内容説明
ウオッカの64年前、ダービーをわずか3戦で制した名牝クリフジ。その鞍上には、今なおダービー最年少勝利の記録を持つ男がいた。前田長吉幻の天才騎手。たった2年半で頂点にまで上り詰めた男の謎に包まれた人生が、ある出来事をきっかけに62年の空白を経て劇的に動いた。数奇というには過酷すぎる運命。そのすべてがついに明かされる。
目次
序章 3つの奇跡
第1章 少年時代
第2章 東京競馬場へ
第3章 第12回東京優駿競走(日本ダービー)
第4章 満州出征
終章 蘇る幻
著者等紹介
島田明宏[シマダアキヒロ]
1964年北海道生まれ。早稲田大学政治経済学部中退。早大在学中から放送作家、フリーライターとして執筆活動を開始。競馬に加え、一般誌でのノンフィクションや書評、JR東日本の会報「大人の休日倶楽部ジパング」での紀行文など、幅広い分野で活躍中。2009年、競馬小説「下総御料牧場の春」で第26回さきがけ文学賞選奨を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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瑪瑙(サードニックス)
38
最年少のダービージョッキー、前田長吉さんの事は申し訳ありませんが全然知りませんでした。わずか二十歳でそれを成し遂げた天才騎手。資料がほとんどない中で、取材されてよくここまで書いてくださったと思いました。戦争がなければ、彼はもっと活躍できたことだろうと思うと、馬術の西竹一さんと共に本当に残念でなりません。長吉さんもどれだけ無念だったことでしょう。どうか平和の世が続いて若者が夢を絶たれる事のないようにと願うばかりです。2018/05/09
たこやき
8
戦時中の1942年~44年の3年間のみの活動で、クリフジによる変則三冠など、クラシック4冠を制した前田長吉という人物を追った書。当時の歴史的背景などからの推測、というのも多いのだが、それでも殆ど情報の残っていない前田について調べあげ、その生涯などを浮かび上がらせた功績は大きい。戦争と言うものが、前田の人生を僅かなものにしてしまったわけだが、軍馬育成という目的があったからこそ、戦火の中でも競馬が行われ、彼は栄冠を手にできた。戦争というものが彼に栄光も死も与えてしまった、という現実が胸に突き刺さる。2012/03/27
やえもん
6
最年少ダービージョッキーは、記録では、別の人になっているようですが、前田長吉であると認識してよいと思います。クリフジは、有名であり、そのジョキーは彼であったということが記憶に刻まれました。シベリアから、日本に遺骨が帰って来て本当に良かったと思います。2011/06/18
ライアン
3
クリフジに乗っていた前田長吉さんのお名前は知っていましたが、その後のことは知らなかった。というか尾形厩舎のエースジョッキーで、ご存命だったら、保田、野平と匹敵すると言われていたくらい将来を嘱望されていたことも知らなかったし、なかなか情報のない人だったのかなと。関係者への丁寧な取材で前田さんについていろいろ知れたのは良かった。前田さんの遺骨が親族に帰った年にウォッカがクリフジ以来牝馬のダービー優勝を果たしたのも何かの因果だったのかな2024/09/12
Mao
2
前田長吉の騎乗、映像が残っていないのが残念。戦争さえ無ければ…2014/10/10
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