内容説明
「改革開放」40周年を迎え、世界第二の経済大国に躍り出た中国。その初期、“草の根”で黙々と汗を流し、農村の発展を支えた日本人たちがいた。中国唯一の「日本人公墓」がある黒龍江省方正県で寒冷地稲作技術を伝えた藤原長作、中国全土でコメの増産に貢献した原正市、スイカの品種改良に心血を注ぎ、北京の人気銘柄に名前の一文字が採用された森田欣一、“一村一品”運動が中国でも広く受容された平松守彦…。「戦争の記憶」が色濃く残る中国で顕著な成果を挙げた日本人4人の「開発協力の記憶」をひもとき、日中の未来を考える。
目次
第1章 藤原長作―五千人の遺骨が「日本人公墓」に眠る方正県で、寒冷地での稲作技術を中国に伝えた日本人のコメモレイション(「戦争」のコメモレイション;「国際人道主義」のコメモレイション;「開発協力」のコメモレイション;戦争・国際人道主義・開発協力の集合的記憶の場としての方正県と日本)
第2章 原正市―中国全土の米増産に貢献し「洋財神(外国から来て懐を豊かにしてくれた神様)」と呼ばれた日本人のコメモレイション(中国政府からの表彰と胸像の建立;中国北方における稲作の発展と新中国における日中農業技術交流;原の協力の展開)
第3章 森田欣一―スイカに刻まれた日中協力の「記憶」‐北京市民に人気の「京欣一号」を育種した日本人のコメモレイション(中国スイカ博物館に刻まれた森田欣一の「記憶」;中国の「スイカ発展史」の中の森田欣一と日中協力;中国側による成果の普及と森田欣一との交流の継続)
第4章 平松守彦―大分“一村一品”の理念と実践経験を通じて農村の発展に貢献した日本人のコメモレイション(中国・改革開放と大分“一村一品”運動の幕開け;一九八〇年代 人民公社解体に伴う農業・農村の構造改革開始と“一村一品”運動との邂逅;一九九〇年代 社会主義市場経済の浸透と農業産業化のツールとしての“一村一品”二〇〇〇年代 「社会主義新農村建設」の中の“一村一品”と国際セミナーの展開;二〇一〇年代 “一村一品”モデル村認定を通じた「強村富民プロジェクト」の展開;日中開発協力史の中の“一村一品”とコメモレイション)
著者等紹介
岡田実[オカダミノル]
拓殖大学国際学部教授。東北大学法学部卒業後、民間企業勤務を経て、1988年に国際協力事業団(現国際協力機構、JICA)入職。JICAでは北京大学留学、中国事務所員、中国援助調整専門家、中国事務所副所長として約10年間対中政府開発援助(ODA)に従事した他、本部、外務省経済協力局、JICA研究等で勤務。2010年、法政大学大学院で政治学博士号を取得し、2012‐13年度法政大学法学部兼任講師。2014年度より現職。現在、大学で教鞭をとるかたわら、NPO法人日中未来の会、一般社団法人国際善隣協会などで日中民間交流活動に参加している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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