出版社内容情報
桜木紫乃文学は世界文学になり得るのか。
「ジェイムズ・ジョイスによってアイルランド文学が構築されたように、桜木紫乃によって〈北の日本文学〉ではない、真の北海道文学が構築されることを期待している。それはすでに北海道文学ではなく、もうひとつの共和国の文学と呼ぶにふさわしいかもしれない」(本書より)
北海道文学やクシロ文学が世界文学になり得る可能性を提示した新しい文学論。
内容説明
釧路出身の直木賞作家桜木紫乃の文学の特性とは何か?英国のジェイムズ・ジョイス文学と読み比べつつ、クシロ(釧路)を舞台にした「北海道文学」のアイデンティティーをも同時に模索し、熱烈なファンを持つその作品の核心に迫る。
目次
序章 クシロの人びと―クシロとダブリン(地政学的な類似;飛翔への夢―ダブリンの人びと、クシロの人びと)
第1章 桜木紫乃とクシロの春夏秋冬(橋(春)
霧(夏)
崖(秋)
湿原(冬))
第2章 北海道とクシロの人びと(砂感覚(自我の凝縮)―『砂上』
星感覚(自己存在の昇華)―『星々たち』
蓋感覚(封印と決壊)―「水の棺」「絹日和」
旅感覚(漂泊の魂)―『ラブレス』
羽感覚(飛翔への願望)―初期詩作、「風の女」『裸の華』)
終章 アイルランド文学、北海道文学、クシロ文学(アイルランドと北海道、ダブリンとクシロ;荒蕪地体験、飛翔と昇華)
著者等紹介
南富鎭[ナンブジン]
1961年~。大韓民国慶尚北道出身の文学研究者。専門は日本近現代文学、日韓比較文学、植民地文学、松本清張、村上春樹など。慶北大学校国語国文学科卒業。高等学校の国語(韓国語)教師を経て、1990年に日本文部省国費留学生として来日。筑波大学大学院文芸言語研究科で博士号(学術)を取得。日本学術振興会外国人特別研究員。早稲田大学、筑波大学で非常勤講師を務める。2003年より静岡大学人文社会科学部助教授。2006年より同教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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