出版社内容情報
1979年ソウルの夏。僕が出会った忌わしい出来事。
内容説明
1979年ソウルの夏。僕が出会った忌わしい出来事。
著者等紹介
四方田犬彦[ヨモタイヌヒコ]
批評家。エッセイスト。詩人。東京大学で宗教学を、同大学院で比較文学を学ぶ。サントリー学芸賞、伊藤整文学賞、桑原武夫学芸賞、芸術選奨文部科学大臣賞、鮎川信夫賞などを受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
275
四方田犬彦は、これまで評論とエッセイは何冊か読んできたが、小説は初めて。どうやら、これが最初の小説であるようだ。四方田は1979年に1年間、建国大学師範大学で客員教授を務めた。そして、その翌年に「文藝」編集部の高木氏の提案で執筆されたのが、本書の初稿である。その後の紆余曲折を経て、最終的にはその初稿が甦り、2020年に出版の運びとなった。したがって、本書の社会的背景は1979年、朴政権下のソウルである。韓国社会が持つ強い熱量と、にもかかわらず寂寥感とが同居する小説である。ここに表出された世界観は⇒2024/03/06
ミネチュ
2
この小説は、著者の初めての韓国(ソウル)滞在のときの経験を、小説としてまとめたものだそうです。 小説として良いのかどうかよくわからないですが、韓国やソウルに関心のある私は興味深く読みました。 1979年、軍事国家で今とは大きく違うソウル。 光復(日本の植民地支配からの解放)からまだ30数年しか経っていないソウル。 そんなソウルに住む人を描いた小説です。2020/10/04
金北山の麓に生まれ育って
2
【韓国オリエンタリズム】著者の映画論や文化論は(高度で難しく理解十分はできないが)好きだ。朴正熙大統領が暗殺される時期に書かれた処女小説だと知らず手に取り最初は「下手」な印象。反日・勘定の払い方・呪術・狂熱性・妓生と発表当時はまだ未知な韓国独特の文化をいかにもおどろおどろしく紹介していく筋運び、当時はショッキングでそれだけで小説になったのか。バブル期の六本木と新宿歌舞伎町だけを描いてこれが日本ですみたいな小説読まされたら離島や工場の日本人自身が「これが日本か?」と思うだろう、当時の韓国オリエンタリズムか 2020/09/16
Shigeo Torii
2
異国で過ごした青春記(それにしては、歳食っているか!?)かな。読み初めて、時代が分かった。話しには聞いていたが、微妙な時期。でもイマイチ、感情移入出来なかった、、、。 2020/08/01
じゃますけ2
1
映画批評でも知られる四方田犬彦氏が若い頃の1979年の韓国滞在を基に私小説のように「僕」を通して書かれた小説。あとがきで、全くのフィクションと書いている。ただ「かつての自分の体験が、きわめて生々しい形で体現されていた」と書くほど、当時の韓国を多く盛り込んでいる。特に『兵役・日本語を話す老婆・教育勅語を暗唱する父親』などの挿話は当時の韓国を感じさせる。「僕」が一方的に殴られるシーンがクライマックスとして描かれており、ドラマチックな展開がないと感じるかも知れないが、丁寧な描写は読み手に臨場感を与えてくれる。2020/07/31
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